2012 Fiscal Year Annual Research Report
酸素安定同位体連続観測と群落多層モデルを用いた森林生態系の呼吸・光合成の分離評価
Project/Area Number |
24310017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
村山 昌平 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 研究グループ長 (30222433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松枝 秀和 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 室長 (60354552)
渡辺 力 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60353918)
坪井 一寛 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 主任研究官 (10553167)
石戸谷 重之 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 研究員 (70374907)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 炭素循環 / 安定同位体 / 群落多層モデル / 森林生態系 / レーザー分光 |
Research Abstract |
H24年度は、同位体連続観測システムの開発、森林サイト(飛騨高山サイト)における現場観測および群落多層モデルの改良を進めた。 同位体連続観測システムに関しては、CO_2の吸収線強度が強い中赤外域の光を射出する分布帰還型(DFB)レーザー光源の波長を変化させ、CO_2の各同位体の吸収線の減衰を分離して測定できることを確認した。 しかし、高精度の同位体比測定のためには、高速に光源波長を変化させて、各同位体の吸収線を高頻度に測定する必要があるが、使用したDFBレーザーは、高速の波長変化に対して耐久性が不十分であることが判明した。このため耐久性が改良されたレーザーに交換したが、光学特性が従来のものと異なるため、光学セルや光学レンズ等の仕様を変更し改造を進めた。 飛騨高山サイトでの現場観測に関しては、年間を通して森林上におけるフラックス、森林内外のCO_2濃度、気象要素の連続観測データを取得し、現地訪問時にフラスコサンプリングによる異なる高度・深度における大気・土壌空気の採取、土壌水、水蒸気等の水試料の採取を実施し、質量分析計により同位体比分析を行った。 開発を進めている群落多層モデルMINCERの改良に関しては、高精度化を図るため、群落内において高度別に観測された、大気中CO_2濃度の時間変動(1時間毎)の再現性について検討した。森林上の実測データをモデル上端の境界条件として与え、1年間のシミュレーションを行ったところ、各高度における時間変化のパターンは概ね再現されていた。しかし、詳細にみると、季節や時間帯によって系統的な違いが生じる傾向があった。その原因として、モデルに含まれる、森林内大気中の鉛直混合過程や土壌呼吸に関わるパラメタリゼーションが不適切であることが考えられるため、今後はこれらの点について改良を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
群落多層モデルの改良や現場観測は概ね順調に進んだが、同位体連続観測システムの開発に関しては、使用するDFBレーザーの耐久性に関して問題があることが明らかになり、その改良に時間を要したため、当初の計画より遅れを生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
レーザーの変更に伴う同位体連続観測システムの改造を行い、早急にシステムを完成させ、現地観測を開始する。 観測結果との詳細な比較により、群落多層モデルの再現性の改良を進め、最適化を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
レーザーの改良が遅れたため、このレーザーの仕様に合わせた観測システムの設計ができず、関係するパーツの購入ができなかったため、繰越金を生じた。H25年度は繰越金とH25年度研究費を合わせて観測システムの構築を進める。
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