2012 Fiscal Year Annual Research Report
アダプティブ・マネジメントによるコウノトリ野生復帰の研究と実行
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24310033
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
江崎 保男 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (10244691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大迫 義人 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (40326294)
佐川 志朗 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (30442859)
内藤 和明 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 講師 (50326295)
細谷 和海 近畿大学, 農学部, 教授 (10330242)
菊地 直樹 総合地球環境学研究所, 研究部, 准教授 (60326296)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コウノトリ / 再導入 / アダプティブ・マネジメント / 合意形成 |
Research Abstract |
平成24年度は、野外の繁殖ペア数が増加し、かつ兵庫県以外にその分布が拡大した。野外繁殖個体群の性比の偏りを補正するために、1羽のオスに発信器を装着して放鳥し、その後の移動、利用環境と採餌状況をモニタリングしたが、この個体は2ヶ月後に死亡した。また、非なわばり個体の位置と個体間関係のモニタリングを開始し、データを収集した。2013年には1ペアが新規に成立し、この雌雄のそれまでの経路・関係がわかってきた。 コウノトリの生息適地解析については、それまで用いていたパラメーターの精度を高めて実施した。 自活モデル地区の選定については、6地区における餌生物ポテンシャル調査および1水系における水域連続性調査を実施し、自活リファレンス地区を1箇所、事業実施地区を3箇所選定した。 野生復帰事業に関する合意形成を促進するために、シンポジウムを企画・開催し、サイエンスカフェ(月1回)、ワークショップ(2市)、懇談会(1箇所)、研究会(月1回)を実施した。その結果、参加者が関係する場所での給餌が中止された。さらに、野外第3世代の誕生をUstreamを使って世界へ発信した。 2箇所の巣塔の移設を実施した結果、一方では繁殖ペアの誘導に失敗し、他方では成功した。また、1ペアに対して段階的に給餌を中止したところ、クラッチサイズの減少と産卵時期の正常化を確認した。 豊岡盆地の飼育個体およびかつて飼育後放鳥された個体について、マイクロサテライトDNAの解析を行い、個体間の遺伝的距離の算出や親個体の推定を行った。 野外個体群の個体群パラメーターを使って、PVA(個体群存続可能性分析)を行った。結果として、今の繁殖パラメーターが継続すれば絶滅の可能性はないことが判明した。また、野外個体群の遺伝的劣化を防ぐために近親婚による繁殖を阻止した(2例)。 繁殖分布の拡大(メタ個体群の確立)のための場所として、兵庫県朝来市と養父市に放鳥拠点を設置し、平成25年度の放鳥に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に記した項目を概ね達成しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画にしたがって次年度以降の研究および実践を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基金助成金については今年度研究調査補助員の雇用開始が遅れたこともあり、雇用日数が少なり、基金助成金に繰越が生じたため、次年度はその分もあわせて雇用する予定である。補助金については次年度は発信器の受信費用、DNA解析費用、水位・水温ロガーセット等の主要な物品を購入する予定としている。
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Research Products
(29 results)