2013 Fiscal Year Annual Research Report
水中パルス放電法による放射性コンクリート廃棄物の除染と縮減
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24310058
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
重石 光弘 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (50253761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浪平 隆男 熊本大学, パルスパワー科学研究所, 准教授 (40315289)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放射性物質 / コンクリート / パルスパワー技術 / 除染 / 廃棄物減容化 / 廃棄物再資源化 / 再生骨材 / 廃棄物処理 |
Research Abstract |
平成24年度に実施したコンクリートの「水中コンクリート内パルス放電」による素材別分離技術の適用についての検討結果に基づいて、平成25年度では確証を得るために、再び安定同位体であるセシウム133を用いた擬似放射性汚染コンクリートの素材別分離を試み、回収された各素材に存在するセシウム133の濃度を調べた。 OPCコンクリートブロック(一辺10cm)を0.1MのCsCl水溶液に1ヶ月浸漬させた後、風乾させたものを供した。事前のブロック切断面におけるEPMAマッピングによるCsの浸漬状態を確認し、ブロックの表面、ならびに骨材とセメントペースト境界でCs濃度が高く、骨材中にはCsは見られないことが分かった。 これら6個を「水中コンクリート内パルス放電」により素材別分離回収した結果、粒径5mm程度以上の再生粗骨材中にCsCl水溶液濃度の1%程度、2.5mm程度以上の再生細骨材中に2%程度、それより小さな残渣中に2%程度が存在し、殆どのCsは放電を実施した水槽中に溶出したことが認められた。これらより、本手法により骨材からセメントペーストや微粒子を除去することが可能であることを改めて示したが、浸漬水に用いたCsClの濃度が現実的でない極めて高い濃度であるために、実験手法の再検討の必要性が示唆された。 さらに、研究の進捗を早めるために最終年度(平成26年度)に予定していた、実際の放射性核種により汚染されたコンクリートによる除染効果の検討を福島市内にて繰上げ実施した。放射線量率0.12マイクロSv/hの汚染鉄筋コンクリートより試料(合計14kg)を切り出し、「水中コンクリート内パルスパワー放電」による素材別回収実験を行った。 その結果、汚染されたコンクリートより回収された骨材は、放射能の濃度は1/10と僅少で、使用した水には放射性物質は溶出しないことが確認された。莫大な経費を必要とする汚染コンクリートの処分には、素材別分別廃棄が経費削減に有効であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績にて述べたように、当初最終年度に計画していた実際に東北地方において放射性か核種による汚染コンクリートを対象にした有効性の検討を実施できた。 そのための、試料の採取、実験サイトの確保などといった実地検証実験のための基盤的要件を整備できたことは、今後の研究進捗に優位に働くものと確信する。 さらに、深刻な問題となっている放射性汚染コンクリート等のがれき処理・処分問題について、本学のパルスパワー技術を応用したコンクリートの素材別分離・回収方法が極めて有望な問題解決策であることを独立行政法人日本原子力研究開発機構にも報告し、その成果の一部は独立行政法人日本原子力研究開発機構からも紹介されている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に実施した実際に放射性核種により汚染したコンクリートを用いた実証実験を継続して実施する。 まず、平成25年度に協力支援を受けた福島市内の実験サイトを継続して使用することが可能となるような環境整備を行う。 また、平成25年度に利用した放射性コンクリートの放射能濃度は極めて希薄なもので、安全性においては好都合ではあったが、後の分析や結果の解釈に困難さが課題として残った。したがって、今後は、安全性が確保された上で、可能な限り放射能濃度が適当な試料を探索することが必要となった。具体的には、6000Bq/kg程度、ないし8000Bq/kg未満の汚染度を有する試料を実験に供することを目標とする。 さらに、分析等においても、これらの試料の運搬や取扱いに十分な配慮が必要であることから、分析実施が可能な適切な機関の協力支援も必要である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学術研究助成基金助成金として次年度使用額となった900,000円は当初より最終年度における支出予定として計画されたものである。 学外事業者への分析依頼にかかる費用や実験現場への研究資材の運搬費用として支出を予定している。
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Research Products
(8 results)