2013 Fiscal Year Annual Research Report
磁性元素凝集ナノマグネットを配列した半導体ハイブリッド構造の作製とデバイス応用
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24310086
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
黒田 眞司 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40221949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 研 筑波大学, 数理物質系, 助教 (60455920)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スピントロニクス / スピン偏極電子源 / 強磁性半導体 / クラスター / 超常磁性 |
Research Abstract |
本研究では磁性半導体中の磁性元素の凝集を結晶成長条件により制御し、母体半導体中に磁性元素の凝集領域が形成されたハイブリッド構造を作製し、その諸物性を調べることによりスピンが関与した新しい現象を探索・解明し、デバイス機能発現の可能性を検証することを目標に研究を行っている。平成25年度は、前年度に引き続き、II-VI族ベースの磁性半導体(Zn,Cr)Teにドナー性不純物となるヨウ素(I)をドープした薄膜結晶を分子線エピタキシー(MBE)法により成長し、結晶中のCr凝集の様子をさまざまな手法で分析した。X線回折およびX線吸収微細構造(XAFS)測定の結果、Cr凝集の詳細はMBE成長中の基板温度により大きく異なることが明らかとなった。加えて、Cr凝集領域が成長面に対し垂直方向に長い柱状として形成されるハイブリッド構造の作製を行った。 また、ヨウ素以外のドナー性不純物でCr凝集の効果があるかどうか確かめるため、Alドーピングの実験を行った。VII族元素のヨウ素はVI族のTeを置換するのに対し、III族元素のAlはII族のZnを置換することによりドナーとしての役割を果たすと期待される。Cr組成一定でAlのドーピング濃度を変化させた薄膜結晶を作製し、磁化特性を調べた。その結果、Al濃度の増加に伴い強磁性転移温度が大幅に上昇することが分かり、ヨウ素の場合と同じくAlのドーピングでもCrの凝集を促進する効果があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度においては、以下の成果を挙げることができた。 1) ヨウ素ドープ(Zn,Cr)TeにおいてMBE成長中の基板温度によりCr凝集の様子が異なることを明らかにした。2) Cr凝集領域が柱状となるハイブリッド構造を作製した。3) ドナー性不純物として、ヨウ素の代わりにAlのドーピングによってもCr凝集が生じることを示唆する結果を得た。以上のことより、上記のように判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により明らかとされたMBE成長条件とCr凝集との相関に基づき、(Zn,Cr)Te中のCr凝集領域を制御したハイブリッド構造の作製を行う。さらに作製したCr凝集ハイブリッド試料の磁化、電気伝導特性の測定を行う。Cr凝集領域の磁気特性およびスピン偏極電子に起因する現象を明らかにし、メカニズムを考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品の使用量が当初予定を下回ったため。 当初の研究計画に沿って、適切に使用する。
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