2013 Fiscal Year Annual Research Report
発光およびスピン伝導を実現する単一分子デバイスの創成戦略の確立
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24310090
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 一義 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90155119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 彰治 分子科学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (20192635)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 1分子科学 / 分子発光素子 / 分子スピン素子 / 複合有機超分子 / ナノギャップ電極 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、複合有機超分子の合成化学的研究を実施した.この複合有機超分子は,ワイヤー部分と機能分子部分からなる. ワイヤー部分の合成科学的研究については,前年度に引き続き研究分担者である分子研グループ(田中彰治)が担当し,スピン伝導ならびに電気伝導を確保しつつ嵩高い置換基で被覆された高性能の分子ワイヤーを望みの長さで精密合成する手法を確立するとともに,一度に大量に目的化合物を得るための合成手法の改良を続けて実施した. 機能分子部分に関しては,京大グループが担当し,今年度は,スピン伝導に寄与する複合有機超分子のコア部分にあたるスピン偏極型有機分子の分子設計ならびに化学合成に注力した.芳香族アミンオリゴマー分子を基本骨格とし,その適切な置換位置に安定な局在スピンを有する置換基を導入することを検討した.具体的には局在スピンとしてニトロニルニトロキシドを選び,芳香族アミンオリゴマー分子の末端フェニル基の4位に置換した分子系について実際に種々合成した.その結果,ニトロニルニトロキシドを4個置換した場合には,置換基の電子吸引性効果により,母骨格である芳香族アミンオリゴマー分子の酸化電位が置換基それ自体の酸化電位よりも上昇し,スピン偏極型有機分子として機能しないことがわかった.これに対し,ニトロニルニトロキシドを4個置換した場合には,母骨格分子の酸化電位が置換基それ自体の酸化電位よりも低くなり,スピン偏極型有機分子として機能し得ることがわかった.後者の分子群においては,いずれも実際に電気化学的ならびに化学的に1電子酸化することにより,分子ワイヤー部分と直接結合させる芳香族アミンオリゴマー分子に発生した非局在化スピンと置換基上に局在するスピンとの間に強磁性的相互作用が働くことが確認され,スピン偏極型有機分子として利用可能であることを明らかにすることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者や研究協力者と密に連携することにより,新しい複合有機超分子の主要パーツとなる分子ワイヤー部分とスピン偏極型コア分子部分の開発に成功している.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通りに研究を推進する.発光分子部分の開発ついてはなお再検討が必要であり,分子設計ならびに化学合成研究を続ける必要がある.
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