2012 Fiscal Year Annual Research Report
テレビジョン撮像管技術に基づく電子走査型実時間ナノ分解能光学顕微鏡の開発
Project/Area Number |
24310096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
宮崎 英樹 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, グループリーダー (10262114)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 / 光物性 / 可視化 |
Research Abstract |
本研究では、過去のものとなったテレビジョン撮像管技術を現代のナノ材料・ナノ計測技術で蘇らせ、表面近傍の光学像を分解能数10nm、無染色で実時間撮像する電子走査型超解像光学顕微技術へと発展させることを目指している。具体的には、光波長よりもはるかに薄い撮像面上に置かれた対象物を照明し、裏面から電子ビームで光波長よりもはるかに小さな空間分解能で走査することにより、近接場光強度分布を電子的に読み出す、これまでにない超解像光学顕微鏡を構築する。 当該年度は、システムの基本部分の構築に時間を費やし、現実の撮像原理の確認には至らなかった。その代わりに、2年目、3年目に計画していたものの内、並行してできる課題を前倒しで進めた。具体的には、走査電子顕微鏡の電子線走査を外部から完全制御し、1ofAの分解能で撮像面から流れ出る電流を測定できるシステムを構築した。また、光ファイバを介して走査電子顕微鏡外部から試料室に照明光を導入できる光学系を構築した。さらに、撮像面試料を試料室全体の真空を破ることなく短時間で位置再現性良く交換できる機構を開発した。これにより、今後開発する各種撮像面の光電流特性を再現性良く比較するための基本測定系はほぼ完成したと考えている。さらに、実際の電子線走査による光学像取得の実現可能性を確認するため、フライングスポットスキャナ方式による近接場像取得を試みた。具体的にはSiNメンブレンに蛍光色素を塗布し、その上を電子線走査することで、直径100nm程度のナノ粒子の影絵として画像が取得できることを予備的に確認した。並行して、マックスウェル方程式に基づいた光学分解能の検証を開始した。モンテカルロ法による電子ビーム散乱の解析も開始した。将来重要な基本要素となる環境セルの試作も進め、その上に付着させる細胞の扱いの習得も進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書に記載した計画の内、具体的な撮像面構成としてAgナノ粒子を用いたアイコノスコープ型あるいは光導電性半導体膜を用いたビジコン型を採用し、撮像面の照明に対して、電子ビーム走査に対応して撮像面から流れ出す電流が現実に得られるかどうか、吸収性物体として表面に散布したAuナノ粒子などの強度分布が実際に画像化できるか、の検証に至らなかった点、その結果、対外的な発表に至らなかった点でこのように評価した。しかしながら、システムの構築は計画通りに達成し、さらに、次年度以降に計画していた環境セルの試作も進め、その上に付着させる細胞の扱いの習得を前倒しで進めた点、システムの検証のためにフライングスポットスキャナ方式による近接場像取得を試み、直径100nm程度のナノ粒子の画像化を確認できた点では計画よりも進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、初年度に構築した基盤要素を用いて、いよいよテレビジョン撮像管方式による光学像が取得可能かどうかの実験に移る。具体的には、最初にAgあるいはAu粒子を用いたアイコノスコープ方式に着手する。また、数値計算による超解像画像取得の原理検証を進める。電子ビーム散乱については、初年度に、散乱領域が計画前に想定していたよりも大きいことが明らかになりつつある。光学的観点のみならず、電子と物質の相互作用の観点からも超解像画像取得が本質的に可能かどうかの理解を深め、必要に応じて計画の修正も検討する。
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