2013 Fiscal Year Annual Research Report
DNAナノテクノロジーを基盤とした動的な1分子観察系の構築と応用
Project/Area Number |
24310097
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遠藤 政幸 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 准教授 (70335389)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | DNAナノ構造体 / 高速原子間力顕微鏡 / 1分子イメージング / DNA組み換え反応 / 光化学反応 / ナノ空間 / 反応制御 / DNAオリガミ |
Research Abstract |
本研究では、生体分子の相互作用の制御や1分子レベルでの化学反応の操作を行い、高速原子間力顕微鏡(AFM)を用いてDNAナノ構造上で1生体分子の動きを可視化することで、生体反応を動的な状態で詳細に解明する手法を開発する。本年度は以下の2項目の研究を行った。 第一に、DNA組み換え酵素Creを用い、その組み換え反応を高速AFMで観察し、動的な反応機構の解明を検討した。基質となるloxP配列を含む2本の2本鎖DNAを2種類の異なる中空なDNAナノ構造体「DNAフレーム」に固定し、その方向や角度を制御して、DNA組み換えの観察を行った。複合体の解離の動的な観察を行い、Creモノマーへの解離と組み換え生成物の生成を高速AFMで捉えることに成功した。また、Holiday junctionに構造的なストレスを加えることで、組み換え反応の方向を逆方向に進行させることに成功し、DNA構造が組み換え反応に大きく影響することを明らかにした。 第二に、光応答性DNAとグアニン4重鎖(GQ)の間の1分子スイッチングの可視化をDNAフレーム内で行った。2本鎖DNAの形成と解離を異なる波長の光照射によって操作し、GQの形成をカリウムイオン(K+)の添加で操作した。DNAフレームには3本の2本鎖DNAを導入し、それぞれに、光応答性DNA、対となる光応答性DNAとGQ鎖、対となるGQ鎖を導入した。UV光の照射を行うと、形成されていた光応答性DNAの2本鎖は解離し、3本の2本鎖がDNAフレーム内に観察できた。次に高速AFMでそのスイッチングを観察した。K+存在下でUV照射すると光応答性2本鎖の解離とGQの形成を観察できた。逆反応もK+非存在下で可視光照射するとGQの解離と光応答性2本鎖の形成を直接観察できた。この結果、2つの異なる反応を可逆的な機械的スイッチングとして1分子可視化することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的のDNAナノ構造体上でのDNA組み換え反応の高速AFMによる1分子イメージングを達成でき、それにともなう技術的な開発も行えたため。また、DNAナノ構造上での光反応による2本鎖DNAの形成と解離およびグアニン4重鎖の形成のスイッチングの1分子観察も達成できた。今年度の目標の転写調節機構を含めた1分子解析の足掛かりができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヌクレオソーム構造体のDNAナノ構造上での1分子イメージングを達成する。転写調節機構を含めた1分子解析を達成する。このために必要な観察系の構築と技術開発を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品の購入費が予定より低く抑えられたため。 基金の残金として、来年度は合成DNAの購入費(50万円)、AFM測定用のカンチレバー(50万円)、生化学実験用の試薬類(50万円)、合計約150万円の支出を予定している。
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Research Products
(22 results)