2012 Fiscal Year Annual Research Report
毎秒1000コマ撮影可能な化学イメージセンサの開発と反応ダイナミクス解析への応用
Project/Area Number |
24310098
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉信 達夫 東北大学, 大学院・医工学研究科, 教授 (30243265)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 浩一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70447142)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 化学センサ / 化学イメージ / 反応ダイナミクス |
Research Abstract |
本研究は、溶液・ゲル・細胞・生体組織などの試料をセンサ面上に載せるだけで、試料内のイオン分布を毎秒1,000コマのスピードで動画撮影することができる、従来にはない新しいタイプの半導体化学/バイオセンサシステムの実現と、このセンサシステムによって得られる動画データを用いた、反応ダイナミクス解析の新しい手法の開発を目的としている。本年度は高周波動作センサの設計のためのデバイスシミュレーションと、高速スキャンシステムに必要な光源アレイの開発を行った。 高速のイオン動画撮影を実現するためには、周波数多重度を上げて多点測定の数を増やすアプローチが有望である。そのため、より広い周波数帯域を持つセンサ基板と、高い変調周波数を使用できる測定系が必要であるが、従来のセンサ基板は、半導体中におけるフォトキャリア拡散の高周波遮断特性に制限されていた。そこで、半導体層における光の吸収とフォトキャリアの拡散を考慮したデバイスの物理モデルを構築して計算機シミュレーションを行い、高周波動作が可能なセンサ厚さ、ドーピング、絶縁層の種類、光の波長などを求めた。 また、センサ上の多くの位置から同時に信号を読み出すための光プローブとして、それぞれ異なる周波数で変調可能な64個のLEDアレイと光ファイバからなる光源を試作した。光ファイバの端部は任意のレイアウトが可能であり、試料の形状にあわせて測定ポイントを設定することができる。本年度は毎秒200コマでのpHイメージングを達成し、10msec以下の時間分解能で化学反応の動画を取得し、また微小流路内部での溶液の置換やイオンの拡散を解析することに成功した。さらに多点での同時測定のため、FPGAを用いた制御・測定回路を設計・試作した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
高周波動作センサの設計については当初予定通りに進捗している。光源アレイの開発については、当初予定していたVCSEL(面発光レーザ)アレイの替わりにLEDと光ファイバを用いたシステムに変更した。このことによって、当初予定では2年目以降に予定していた微小流体デバイスへの応用の実験を前倒しで実施することができた。最終目標は毎秒1,000コマの動画測定であるところ、現時点で毎秒200コマの動画測定を達成している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に大きな変更は無いが、一部前倒しで進捗しているので、開発したセンサシステムの応用に関する研究を早めに実施する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費のうちVCSELアレイの費用として計上していた20万円が設計変更に伴って不要となったが、次年度において代替のLEDアレイをVCSELアレイと同程度に高密度化した基板を製作する必要があり、その費用に充てる。 また、海外共同研究者のグループとの研究打合せ旅費として60万円を計上していたところ、本年度は先方が別の予算で来日したため、当方からの渡航時期を次年度に変更した。
|
Research Products
(10 results)