2014 Fiscal Year Annual Research Report
インテリジェントセンサを集積化したオンタイム有機光反応システムの開発
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24310101
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
垣内 喜代三 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (60152592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 淳 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (80304161)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 有機光反応 / マイクロリアクター / キャピラリーリアクター / オンタイム計測 / CMOS半導体集積回路技術 / Paterno-Buchi反応 / スラグ流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、CMOSイメージセンサを集積化したマイクロフローリアクターを作製するとともに、それを利用したオンタイム有機光反応システムを開発することを目的とし、高速、高収率、高選択的な有機光反応の実現を目指している。これまでに、液相一相系で進行する不斉Paterno-Buchi反応において、キャピラリーリアクター中でバッチリアクターに比べて高効率な反応が進行することに加え、意図的に反応不活性な試薬(窒素あるいは水)を加えて二相系スラグ流を形成させることで、一相系の結果よりもさらに反応が加速することを見出している。しかしながら、その検討はトルエン中の一例のみであり、反応加速の機構も未解明であった。そこで、本年度は溶媒や温度の詳細な検討を行った。その結果、有機溶媒の屈折率が重要なパラメータであり、水に比べて高い屈折率を有する有機溶媒を用いることで、光を有機溶媒中に閉じ込めることに起因して、反応が劇的に加速することを明らかにした。さらに、この高効率反応はグラムスケールの大量合成にも展開可能であることも明らかにした。オンライン計測においては、偏光計測CMOSイメージセンサ搭載オンライン旋光度計測デバイスに、新たに高性能脱気装置を組み合わせて、スラグ流での旋光度測定機能について評価した。また、計測感度、画素ばらつきを抑制した新たな偏光計測CMOSイメージセンサを設計・試作し、高性能化を実現した。さらに、光学系の改善を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロリアクターを用いた光反応においては、マイクロリアクター内でのみ形成可能なスラグ流の特性を利用することで「光の閉じ込め」作用が働き、高効率な光反応が達成可能であると共に、その作用には溶媒の屈折率が大きな役割を果たしていることも明らかにした。また、オンライン計測デバイスについても、実反応のオンライン解析において高性能化を実現した。一方で、システム内の反応液混合部内に不具合が生じ、これまでに得られたデータの一部に不連続性が生じた。この点は想定内ではあるものの、速やかに解決する必要があり、次年度の課題として残った。全体を通しては、本課題は予定通りの進捗であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討において有機光反応の進行にはマイクロフローリアクターが極めて有効であり、とくにスラグ流条件を積極的に利用すると更なる高効率な反応が達成であることを明らかにした。一方で、生産性に視点を向けると、スラグ流条件下では単位時間当たりの基質溶液流量は減少してしまうため、一相系と比較しても同等程度の値しか達成できていない。そこで、条件をさらに精査し、生産性においても優位性を示すことを目指す。オンライン計測については、本年度で生じた問題点を速やかに解決し、高精度での反応のオンライン計測の達成を目指す。
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Causes of Carryover |
マイクロフローシステム中の反応液混合部の不具合が生じ、これまで得られたデータの一部に不連続性が生じた。混合部の再構築後、再度データ収集を行い、解析する時間が必要となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
混合部の再構築を最優先に検討を行い、その後データの収集、解析を行う。そのための部品や消耗品の購入、得られる成果を各種学会に発表するための費用として次年度の使用額を用いる。また、今回の問題点を解決すべく、さらに情報収集のための費用にも使用額を充てる。
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Research Products
(12 results)