2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24310107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
長谷川 剛 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究者 (50354345)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノ電子デバイス / 原子スイッチ / ニューロン / 想起メモリ |
Research Abstract |
平成24年度は、出力を変えずに入力信号を素子内部に蓄積する機能(信号蓄積機能)の開発を中心に研究を進めた。具体的には、イオン伝導体のモデル材料である硫化銀を素子主要部材として用い、入力と出力の関係を入力信号(電圧の大きさ)の関数として計測した。その結果、数十ミリボルトの小さな電圧を数分程度印加(初期化)することで、その後の素子動作に特異な現象が現れることを見いだした。すなわち、印加する電圧が概ね3V以下の場合は揮発性の動作を、3V以上の場合は不揮発性の動作をすることが分かった。初期化を行った素子でのみ観察されるこの現象を用いることで、いわゆる想起メモリを実現できる可能性があることも分かった。人間の脳では、この想起現象(過去の情報や経験が、特定の条件によって突然想い起こされること)はニューロン動作によって実現されていると考えられている。本研究成果は、初年度の目標とした「特定の条件を満たした場合に高い電気伝導度を示す材料系の探索」によって得られたものであり、ニューロン動作を原子移動型素子で実現する上での重要な成果の一つであると考えられる。なお、これらの材料探索と特性評価をより詳細に行うために必要な素子作製・計測用チャンバ「STM観察系」の整備も行った。また、入力情報の蓄積メカニズムを検証するために必要な断面電子顕微鏡観察を行うための素子構造の検討、ならびに、電子顕微鏡ホルダの設計も行った。以上の様に、平成24年度は計画通りに研究を遂行することができた。この成果を基に、平成25年度の研究を遂行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の主要な研究項目である「特定の条件を満たした場合に高い電気伝導度を示す材料の探索」において、今後の研究を進める上で重要な知見が得られた。これに加えて、備品整備も含めて、当初計画通りに研究が進んだことから、上記判断となった。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度となる平成24年度の研究が順調に進んだことから、平成25年度以降も、本研究開始時点の計画に沿って研究を進めて行く。
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