2013 Fiscal Year Annual Research Report
サプライチェーンを設計するための情報工学手法の開発
Project/Area Number |
24310109
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂田 一郎 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90555682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鹿島 久嗣 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (80545583)
梶川 裕矢 東京工業大学, 大学院イノベーションマネジメント研究科, 准教授 (70401148)
森 純一郎 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30508924)
菊池 康紀 東京大学, 総括プロジェクト機構, 講師 (70545649)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 政策科学 / サプライチェーン / 技術経営 / 情報システム / 機械学習 |
Research Abstract |
潜在的な取引関係の抽出および妥当性の評価を行った。具体的には、平成24年度に抽出を行った各企業が有するサプライチェーンの構造的情報、技術情報や、属性情報を入力情報とし、開発を行った機械学習手法を用いた分析を行うことで、潜在的な取引関係のモデル化を行った。開発したモデルを用い、各企業の有するサプライチェーンの部分を代替し得る企業、企業群、企業や企業群と技術の組み合わせを推薦するシステムの開発を行った。 次に、開発したシステムを用いて、モデルの妥当性の予備的な評価を行った。得られた結果をランキングとして表し、ユーザーである企業から評価を受けることで、モデルが推測した結果の妥当性を評価する。評価にあたっては、開発した技術を、我々が既に開発を行い公開している、提携先や取引先の探索支援システム「SMEET」に実装し、サプライチェーンの代替可能性に関する評価を可能なユーザーインターフェースを準備した。また、Webインターフェースからの入力では捉えきれない定性的な評価結果などをヒアリング調査により補完する準備を進めた。Webインターフェースに依る評価、ならびにヒアリング調査にあたっては、既に協力関係にある中小企業庁や全国イノベーション推進機関ネットワーク、各地域の産学連携機関等と連携し、協力企業を募り評価体制を構築した。 さらに、事業継続計画の策定のために考慮すべき潜在的関係の優先度の判定を行った。具体的には、各企業の有するサプライチェーンの部分を代替し得る企業等を精度よく推測することは、そのサプライチェーンの当該部分の重要性を保証しない。そこで、企業へのヒアリング調査により、事業継続計画を策定する上で優先的に検討すべきサプライチェーンの部分の特徴を収集、分析し、考慮すべき要素をモデルに組み込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の経営学の研究では、企業間ネットワークが、企業の活動や業績に与える影響の理解に主眼が置かれてきた。しかし、それだけでは新たなサプライチェーンを設計することは困難である。本研究では、多元的なグラフ構造データに対する機械学習を用いて、事業継続計画の策定のためのサプライチェーン設計支援を行う手法の開発を目標として研究開発を実施する。本研究の目的は、特定の企業や企業群に供給・販売を依存しない、頑健なサプライチェーンを設計するための情報工学的な手法の開発である。 平成25年度は潜在的な取引関係の抽出および妥当性の評価を行った。具体的には、平成24年度に抽出を行った各企業が有するサプライチェーンの構造的情報、技術情報や、属性情報を入力情報とし、開発を行った機械学習手法を用いた分析を行うことで、潜在的な取引関係のモデル化を行った。開発したモデルを用い、各企業の有するサプライチェーンの部分を代替し得る企業、企業群、企業や企業群と技術の組み合わせを推薦するシステムの開発を行った。また、開発したシステムを用いて、モデルの妥当性の予備的な評価を行った。得られた結果をランキングとして表し、ユーザーである企業から評価を受けることで、モデルが推測した結果の妥当性を評価するための仕組みと体制作りを進めた。 当初の目的である、グラフ構造データに対する機械学習によるサプライチェーンのモデル化については、研究計画通りおおむね順調に進展している。一方、モデルの評価については、評価のためのシステムと体制がすでに整っており、その上で徐々に規模を拡大しながら評価実験を進め、モデルの妥当性を評価するとともに改善を進める必要がある。平成26年度は評価実験を通して、特定の企業や企業群に供給・販売を依存しない、頑健なサプライチェーンを設計に資する知見を明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的である、グラフ構造データに対する機械学習によるサプライチェーンのモデル化については、平成25年度までの研究開発で、研究計画通りおおむね順調に進展している。一方、モデルの評価については、評価のためのシステムと体制がすでに整っており、その上で徐々に規模を拡大しながら評価実験を進め、モデルの妥当性を評価するとともに改善を進める必要がある。平成26年度は評価実験を通して、特定の企業や企業群に供給・販売を依存しない、頑健なサプライチェーンの設計に資する知見を明らかにする。 また、現在取引関係のモデルは国内企業の情報の元に構築しているが、中小企業の国際的な販路開拓という社会要請を鑑みて、国内外の取引関係についても同モデルの適用を検討する。具体的には、共同で研究を進めている香港の研究者とともに香港経済圏を中心とした企業の取引関係データを収集し、研究開発を行った取引モデルの適用を行う。すでに、予備的なデータについては一部分析を進めており、香港経済圏の取引ネットワークの分析を行っている。これにより、国内のみでなく、中小企業が海外展開する際においてもデータ分析に基づく情報システムを通した、取引先発見の支援を目指すとともに、頑健なサプライチェーンの設計という観点からも、国内外で国際的な頑健で信頼性の高いサプライチェーンを構築する際の知見についても、実データから構築したモデルに基づく分析を通して明らかにしていく。最終的には、以上の研究の成果を、企業あるいは企業支援を行うユーザが容易に使用可能なウェブシステムとして発信して行くことを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の目的である、グラフ構造データに対する機械学習によるサプライチェーンのモデル化については、平成25年度までの研究開発で、研究計画通りおおむね順調に進展している。一方、サプライチェーンモデルの評価については、平成25年度は評価のためのシステムと体制を構築準備を主に進めたため、一部の評価実験を後倒しすることになり、次年度使用額が生じた。また、平成26年度は、中小企業の国際的な販路開拓という社会要請を鑑みて、国内外の取引関係についても同モデルの適用を検討する。その分析と評価のためにも次年度使用額が生じた。 平成26年度は、研究開発を行ったサプライチェーンモデルの評価を行うために、物品として評価システム構築用のサーバが必要となる。また、評価実験参加者の謝金が必要になる。評価実験は、複数回実施し、研究目的である特定の企業や企業群に供給・販売を依存しない、頑健なサプライチェーンの設計に資する知見を明らかにする。 国内外の取引関係のモデル化については、香港経済圏の取引データの前処理に関する研究補助のための人件費、同モデルを構築、評価するためのサーバが必要になる。また、研究開発の成果を学術成果を発表するための旅費が必要となる。
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