2013 Fiscal Year Annual Research Report
有限幅海岸林の破壊・流失と浮遊物の捕捉を考慮した津波減衰・増長影響の高精度評価
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24310127
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
田中 規夫 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80323377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木澤 順治 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (70549998)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 津波 / 浮遊物 / 河川遡上 / 数値解析 / 防潮林 |
Research Abstract |
東北地方太平洋沖地震津波では、河川遡上による堤内地への氾濫や、破壊により発生した浮遊物の遡上など、複雑な氾濫形態が見られた。今後の対策を考えるためには、構造物や樹林帯の破壊や輸送、また衝突による衝撃力を組み込んだ解析モデルが必要である。2013年度は、1)河川を遡上する津波による氾濫の局所性を高精度に定量評価するための総合的な津波解析モデル(ネスティングによるモデル、河川の助走計算、樹木破壊・家屋破壊の取り込み)を構築し、阿武隈川流域の河川沿いの氾濫現象を詳細に解析を行った。その結果、河川沿いの被害の局所性を津波の越流時のエネルギー水頭や、越流タイプ(完全越流、潜り越流)で区分することに成功し、得られた傾向は他地点での研究事例を満足した。2)海岸林や家屋の破壊限界を含むモデルを用いて、家屋の破壊関数を浸水深ではなく他地点にも応用可能な流体力指標を用いて表現するのに成功した。また、破壊されなかった樹木の浮遊物捕捉機能を組み込むことが流体力による家屋被害の評価には重要であることを示した。3)流木の衝撃力を定量評価するための流木衝突実験をおこない、その知見を踏まえ、海岸林の長所(流体力を減少させる効果)、短所(流木化した際に衝突力を増加させる影響)を衝突力を非線形長波方程式と運動量変化に基づく力積方程式で解く手法で解析して比較を行い、仙台平野の事例では長所のほうがはるかに大きかったことを明らかにした。4)海岸林と堤防の組み合わせによる津波減災効果を樹林帯・堤防による反射と越流量の変化に着目して実験をおこない、それぞれに長所短所を比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹林帯が破壊されない場合に周辺流れ場に与える影響については、衝突後に様々なパターンが存在したため、分類に時間がかかり定量的なモデル化には至っていない部分もあるが、第一段階実験は概ね完了している。それ以外は、予定よりも早く進んでいる部分もあり、全体としては概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目にやや遅れが見られた部分は、装置の改良などにより克服済みであるため、3年目は問題なく推進可能である。大学院修士2年2人と学部4年生2人の計4人が研究に従事する予定であり、特に問題はない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定より安い金額で物品等が調達ができたので、余りが生じた。 予定通りに研究を進めます。
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