2013 Fiscal Year Annual Research Report
孔内用精密制御振源とトモグラフィ解析による表層地盤のS波速度構造の高精度決定
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24310131
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡辺 俊樹 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50210935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国松 直 独立行政法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 上級主任研究員 (70356921)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地盤構造 / S波速度 / 振源装置 / トモグラフィ / 機器開発 |
Research Abstract |
本研究では、表層地盤のS波速度構造を高精度かつ高分解能に決定するために、従来の孔内用S波振源で達成し得ない高品質なS波波形記録を取得することが可能な新たな振源装置の開発と、その精密制御によるデータ取得および解析の方法を確立することを目的としている。すなわち、モーター制御の偏心錘による振源に、精密制御定常信号システム(ACROSS)によって確立された高度な信号設計とデータ処理手法を組み合わせ、取得されたデータからS波速度トモグラフィによる高精度・高分解能なS波速度構造を決定する。 昨年度に開発を前倒しして製作した実用試験器の振源機構の基礎的な動作試験を実施した。当初の仕様をほぼ満足したが、今年度は、さらなる構造の分解能向上を目標として、回転周波数の向上をはかった。偏心錘の軽量化とベアリング摩擦の低減のための改造を行い、目標とする60 Hzで安定して動作することを確認した。設定周波数の上限値である90 Hzを越えた周波数でも動作が可能であることを確認した。また振源の孔内への固着機構の開発を行い、地上から制御可能であり緊急時の脱着機構を備えた固着機構を実装した。今年度で実際に孔内で使用可能なS波振源のハードウェア開発が完成した。最終年度に予定している、実際のボーリング孔を用いての性能試験、およびフィールド試験について検討を進め、フィールドの選定と交渉を行うとともに、試験計画の検討、計測システムの準備、現場作業に必要な支持材やケーブル等の準備も進めた。 データ解析処理については、精密制御定常信号システム(ACROSS)データ処理において開発されたプログラムを本システムに適用するための検討を行った。トモグラフィ解析のプログラムを整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に前倒しして実用試験機の開発に取りかかり、基本動作部分を製作したため、今年度は十分な時間をかけて性能の向上と改良を行うことができ、実際に孔内で使用可能なS波振源のハードウェア開発が完成した。最終年度に予定している孔内試験、フィールド試験の準備もすでに進んでいる。データ処理と解析についてはおおむね予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であり、当初予定通り、振源装置とシステムの性能評価と、フィールドにおける実データの取得を実施する。すでに、試験の内容と実施場所の選定と交渉はほぼまとまっており、実験の準備も進行している。データが取得できれば解析を実施し、当該地点の既存の地質資料等と比較してシステムの性能を評価し、研究をとりまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
振源装置の改良と固着機構の開発が順調に進んだためである。 次年度に予定している孔内試験とフィールド試験に使用する。
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