2012 Fiscal Year Annual Research Report
河川観測レーダによる河川水位予測システムに関する研究
Project/Area Number |
24310136
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 昌奎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70272515)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 減災 / 洪水 / 自然現象観測・予測 / リモートセンシング |
Research Abstract |
平成24年度はマイクロ波レーダによる河川観測のアルゴリズムについて基礎的検討を行うとともに、河川水位の予測手法について調査した。アルゴリズムについては、荒川での観測データを用い、パターンマッチングにより水位の算出を行った。その結果、河川ではレーダの平均受信電力に時間的な変動が生じるため、算出した水位にばらつきが生じることが判明した。平均受信電力の変動の原因としては、堤防等により水面への風の作用が不均一であったことが考えられる。このようなばらつきはあるものの、パターンマッチングの一致度が高く、水位計と同等の結果が得られたデータも存在するため、原理的には本研究の水位観測手法が適用できると考えられる。アルゴリズムを改良し、ノイズ除去を行ったところ、水位の推定精度を向上することができた。河川水位の予測手法については、既往の計算手法についてレビューを行い、レーダによる観測データを活用する推定法について調査した。複雑な予測モデルは多数の入力パラメータを必要とするため、できるだけ簡便なモデルを用い、観測データをフィードバックして予測精度を向上させる手法が実用的と考えられる。平成24年度の研究から、高精度に水位を計測するにはハードとソフトの両面からの改良が重要であることがわかった。平成25年度は河川観測に適したレーダを作成して河川観測を行うとともに、ドップラースペクトルを用いたノイズ除去法について検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存のレーダによる荒川での観測から、河川におけるレーダ信号の特性を知ることができ、平成25年度以降の研究推進の目処がついた。
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Strategy for Future Research Activity |
河川観測用レーダを新たに設計・制作し、相模川において長期観測を実施する。レーダの観測結果を水位計およびH-Q曲線の結果と比較することにより精度検証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
既存のレーダによる荒川での観測から、河川では海洋に比べてノイズが大きいため、河川観測にはSN比がより高い高性能なレーダが必要であると判断された。そこで、予定していた高速データ収録装置の購入を中止した。その費用は次年度の直接経費と合わせて高性能なレーダの制作に使用する。
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