2013 Fiscal Year Annual Research Report
mRNAと新生ペプチドの局所構造による翻訳効率変化のゲノムワイド解析
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24310148
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中東 憲治 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特任准教授 (70322740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 浩禎 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (90182203)
金井 昭夫 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (60260329)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リボソームプロファイリング / ゲノム解析技術 / リボソーム / 翻訳 |
Research Abstract |
本研究計画は、リボソームプロファイリングという新しい手法を用い、翻訳装置の基本的性質や、薬剤による翻訳阻害の実体、翻訳関連因子などの働きをゲノムワイドに明らかにすることが目標である。本年度の実績として、以下を挙げる。 コドンが認識の場であるリボソームA-siteにおいて、コドン毎のリボソーム密度の差が、同義コドン間の使用頻度の差と良く相関していることを確認した。これは、各コドンのデコーディング速度を反映したものと考えられ、以前よりよく知られているが、これまでモデル系でしか、確認されておらず、通常の生育状態で、全ゲノム的に示されたのは初めてである。また、外来遺伝子を高発現させることで、特定のコドンの使用頻度が上がると、A-siteリボソーム密度が上昇することからもこの現象を確認した。 翻訳の様々な過程を阻害することが知られている7種の薬剤を作用させた状態でリボソームプロファイリングを行った。この実験は通常、大腸菌では効果の弱い薬剤を用いるためin vitro翻訳系を用いる予定であったが、薬剤感受性変異を導入してこれらの薬剤の効果を発揮させることができたので、in vivoの実験を行った。そのため、より実際の細胞中に近い効果を得ることが出来たと考えている。一方、in vitro翻訳系を用いたリボソームプロファイル系は予定通り立ち上げに成功しており、その実験と、停止したリボソームのレスキューに関与する遺伝子欠損株を用いたin vivoリボソームプロファイル実験によって、リボソームの停止する位置を従来よりも明瞭にすることができた。また、昨年度の研究で野生株とhfq欠損株を比較して発見した新規sRNAのうち2つと、既知sRNA1つをそれぞれ過剰発現し、リボソームプロファイルの変化と情報学的解析から、ターゲット遺伝子の推定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度当初は以下の4点を計画し、②③では方法、内容の変更はあるものの、相当する実験を行い結果を得ているので、概ね予定通りの達成度と自己評価する。 ①In vivoのリボソームプロファイルでのストール位置検出感度を上げる試み。 ②環境要因による翻訳効率の変化の解析 ③In vitroでの、再構成翻訳系を用いたリボソームプロファイル法の確立と利用。 ④ toe printingアッセイ系(in vitro)、レポーター遺伝子系(in vivo)を用いて翻訳停止や翻訳効率の変化を解析する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度までの解析で確認したリボソーム密度に影響を与える構造についての確認と、それらが翻訳に影響を及ぼす機構を明らかにするための実験を行う。 1. A-siteにおける同義コドンのデコーディング速度の違いはtRNA量の差と、コドン、アンチコドン対合の効率の2つが関与していると考えられるが、特に同一tRNAによるコドン毎のデコード能力の差に着目した解析を行う。 2. 16S rRNAを改変した株を作製して用いてリボソームプロファイリング実験を行い、anti-RBS配列が翻訳開始、及びそれ以外の領域で及ぼす翻訳効率の解析を行う。 3. 各種抗生物質の効果について平成25年度in vivo実験を行ったので、その結果を基に使用する薬剤を絞ってin vitro翻訳系での実験を行い、vivoでの結果と比較して薬剤の効果に関しての知見をまとめる。 発見した個々の翻訳アレストポイントに関しては、lacZ融合遺伝子での実験よりもtoeprint実験での確認がより明確であると分かったので、これまで見いだした位置のtoeprintでの確認を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末時期に生じた経費の支払い、清算手続きが平成26年4月以降になるため、平成26年3月31日時点では翌年度に使用する研究費が生じているが、平成26年4月以降に行う支払い・精算に使用する予定である。 平成25年度計画で使用した経費について、平成25年度から繰り越した助成金を使用し、平成26年度の使用分については当初予定の平成26年度分での支払いを行う予定である。
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Research Products
(3 results)