2013 Fiscal Year Annual Research Report
クマリンのプレニル基転移酵素ファミリーの開拓と触媒機能の高次制御
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24310156
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢崎 一史 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (00191099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 暁史 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (20598601)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 二次代謝 / 生合成 / クマリン / プレニル基転移酵素 / 膜タンパク質 / プレニルジリン酸 |
Research Abstract |
プレニル化酵素(PT)の基質や生産物特異性などを分子レベル論じるために、柑橘類以外の植物ファミリーからクマリン基質PT遺伝子をクローニングすることとした。セリ科は、ミカン科と並んで多種類のフラノクマリンを生産するが、基本骨格の差によりフラノクマリンは「リニア」および「アンギュラ」の2種類に分けられる。どちらを与えるかを決定する重要生合成反応が前駆体クマリンのプレニル化であるが、これまでクマリンのプレニル化酵素は同定されていなかった。 パセリ(セリ科)から縮重プライマーを用いてPTのcDNAを単離し、PcPTと名付けた。このPcPTをNicotiana benthamiana に一過的に発現させ、そのミクロソーム画分を調製して酵素活性を調べた。その結果、PcPTはウンベリフェロンを最も良いアクセプタ基質とし、ジメチルアリルジリン酸(DMAPP)を特異的プレニル基質とするPTである事が判明した。クマリン基質におけるプレニル化位置は、6位が優位で、8位がプレニル化された生産物も5%程度認められた。この事は、PcPTがパセリでリニア型フラノクマリン生合成を司るPTであること、しかしアンギュラ型フラノクマリンを生産しないパセリにおいても少量の8-プレニルウンベリフェロンが作られている事を意味している。実際内在性化合物の分析結果もこれを支持した。また、PcPTも他のPT同様、トランジットペプチドを有している事をGFP融合蛋白の発現実験から証明した。 さらに、クマリン生合成酵素C2'HとPcPTとを発現させたN. benthamiana で、プレニル化クマリンの形成に成功し、プレニル化化合物の代謝工学に新しい可能性を提示した。この結果は、初めてのクマリン基質PTとして、Plant J., vol. 77, 627-638 (2014) に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度には、調節サブユニットの存在についても検討を行い、レモン(Cl-PT1)とグレープフルーツ(Gf-PT3)のリコンビナントPTに、グレープフルーツの無細胞抽出物やミクロソーム画分を添加する実験を行った。しかし、各PT活性の特異性(基質ならびに生産物)に差は見られなかった。 従前、単離例の全くないO-プレニル化酵素に関しては、現在候補遺伝子の機能解析中である。最初の実験では既に、用いた基質に対して明確なO-プレニル化活性が検出されている。今後は再現性を含めて、システマティックな酵素化学的解析に進む予定である。また単離済みのグレープフルーツの5種のPTについても、既に複数クローンでクマリンのプレニル化活性が証明できている。以上のように、研究の進捗に特に遅延はなく、ほぼ予定通りのペースで研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ予定通りに研究が進捗していることから、当初の研究計画所に沿った推進を行う予定である。特に注力するのは、現在候補が得られているO-プレニル化活性を示すPTの解析であり、必要なデータセットを年度内に揃えて論文化を目指す。 研究の進捗状況を見て、可能であれば、C-プレニル化酵素のアミノ酸配列との比較から、キメラ酵素、あるいは部位特異的突然変異などを導入して、生産物特異性を決定する分子メカニズムの解明を行う計画である。
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Research Products
(7 results)