2012 Fiscal Year Annual Research Report
オーファン受容体とそのリガンド同定による放線菌二次代謝制御の統合的理解
Project/Area Number |
24310157
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仁平 卓也 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 教授 (70144441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木谷 茂 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 准教授 (10379117)
木下 浩 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 助教 (20294035)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オーファン受容体 / 二次代謝 / 放線菌 / 低分子リガンド |
Research Abstract |
新規有用化合物の主要な生産菌であり、また医薬品の重要な工業生産菌であるStreptomyces属放線菌を対象として、機能未知の31ファミリー約650個の制御因子のうち、未知信号物質のセンシングに関わると推定される制御因子群(TetR系125個、2成分制御系60個)について、二次代謝発現に関与する低分子リガンドとその受容体として機能する制御因子の同定を行い、低分子リガンドの迅速な構造決定と制御因子の機能解析を通じて、新たな二次代謝制御カスケードを明らかにする。 全ゲノム情報が明らかにされ、又工業生産上極めて重要な医薬品avermectinの生産菌であるS.avermilitisを用いて、RNAiによる発現抑制が二次代謝へ及ぼす影響から、125個のTetRファミリー制御因子群、及び2成分制御系のセンサーキナーゼ60個より、二次代謝に関与する制御因子を選別する。その後、組換え型タンパク質をアフィニティ担体として低分子リガンドを迅速精製し、LC-MS/MS並びに高分解能H-NMRを用いてその構造を決定する。同時に、受容体である制御因子の遺伝子破壊株、強制高発現株を作成し、二次代謝産物の生産並びに、全32種の生合成遺伝子クラスター発現への影響を精査することで、該当するリガンドと受容体のペアーが二次代謝制御に果たす役割を確定する。 1.全ゲノム情報から、バイオインフォマテックの各種手法により、TetRファミリー制御遺伝子群、及び2成分制御系のセンサーキナーゼ遺伝子群を推定し、周辺遺伝子の解析と合わせて、二次代謝でのオーファン受容体として働き得る候補遺伝子を同定した。さまざまな微生物に由来する同群因子のアミノ酸配列に基づく隠れマルコフモデルにより、潜在的な同群制御因子ももれなく同定した。また、リガンド結合領域に焦点をしぼった配列解析を行い、アミノ酸、糖、核酸などの単純な一次代謝産物、並びに典型的な抗生物質を結合する制御因子は除外した。 2.選別した制御因子7種につき、転写プロファイル解析を行い、最も有望な制御因子を選択し、大腸菌を用いて組換え型制御因子タンパク質の大量発現に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
S. avermitilisの全ゲノム配列より隠れマルコフモデルを適用することでTetR系制御因子群と2成分系制御因子群をもれなく抽出することに成功した。リガンド結合領域に絞った系統樹解析から、一次代謝系に関与する制御因子群は除去でき、二次代謝の制御に関わり得る因子を推定し、更に転写プロファイル解析から二次代謝制御に関わる制御因子を抽出することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
発現に成功しているTetR系制御因子を用いて、アフィニティカラムを作成し、低分子リガンドの濃縮後、HPLC解析用に誘導体化を行い、LC-MSにより低分子リガンドの精製と構造解析を推進する。
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