2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24310164
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
細谷 孝充 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60273124)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 有機化学 / 化学修飾 / アジド / クリック反応 / 機能集積 |
Research Abstract |
効率的な創薬や生命科学研究の推進のために、生命機能の発現機構を分子レベルで解明するための新手法が求められている。本研究では、これまでに培ってきた独自のアジド化学を基盤に、「アジド基の反応性制御」技術を利用することで、革新的な生体分子機能解析技術の開発を目指している。 本年度は、以前見いだした、かさ高い置換基を有する芳香族アジド基の活性化技術を基盤に、反応性の異なる複数のアジド基に対して、適切な反応条件で順に環化付加反応を行うことで、多機能性分子プローブの創製を目指した。これまでの研究で、かさ高い芳香族アジド基は協奏的な反応においては高い活性を有する一方、段階的な反応においては、大きな立体障害の影響で活性が低いことを見いだしている。このようにアジド基の反応性をON/OFFできる点に着目し、環境の異なる複数のアジド基を有する分子を用いた逐次クリック反応が実現できると考えた。種々の検討の結果、異なる性質を示す3種のアジド基を併せ持つトリアジド化合物を用いて、3度のクリック反応を連続して行うことで、3種の分子とそれぞれ逐次連結できることを見いだした。具体的には、かさ高い置換基によって協奏的な反応における反応性の向上したアジド基を環状アルキンとのクリック反応で優先的に反応させ、塩基触媒を用いるクリック反応では芳香族アジド基を、遷移金属触媒を用いるクリック反応では脂肪族アジド基を優先的に反応させられることを見いだすことができた。しかも、この3度のクリック反応の順番を入れ換えることもできることが分かった。さらに、本手法を利用することで、3種の機能性分子をトリアジド化合物に集積することができ、マルチモダリティープローブ分子の開発にも有用であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
異なる種類のアジド基の反応特性を精査した結果、当初計画していた3種類の分子との逐次連結に成功しただけでなく、実際には反応順序を入れ替えても逐次連結が行なえることが明らかになり、当初の計画以上の成果を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、革新的な生体分子機能解析技術の開発を目指し、プローブ分子の開発における有用性をさらに高めるために、かさ高い置換基による「芳香族アジド基の反応性向上」技術をさらに発展させる。具体的には、芳香族アジド基上の置換基の種類の違いによる、各種反応形式における反応速度への影響を精査し、より実用性の高いマルチアジド化合物の開発を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、当初想定していなかった3度の逐次クリック反応の順序を入れ換えられることを発見するなど、計画以上に研究を大きく進展させることができたが、それに伴い今年度実施予定であった多様なアジド化合物などの合成の一部を次年度に実施することとした。そのため必要な試薬類などの購入が次年度増えるとともに、高速液体クロマトグラフ装置を導入することでさらに効率的に研究を進められると判断し、次年度使用額が生じた。 多様なアジド化合物やプローブなどの合成に必要な試薬類の購入を増やすとともに、さらに効率的に研究を進めるために高速液体クロマトグラフ装置を導入する。
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Research Products
(27 results)