2013 Fiscal Year Annual Research Report
民衆運動と移民が湾岸諸国の君主体制に及ぼす影響の動態的研究
Project/Area Number |
24310177
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
松尾 昌樹 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (10396616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻上 奈美江 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (30584031)
大川 真由子 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教 (70571818)
石黒 大岳 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 研究員 (30611636)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 現地調査 / 理論分析 |
Research Abstract |
定例研究会を実施するとともに、アラブ首長国連邦、オマーンにおいて現地調査を実施した。 定例研究会では、湾岸諸国の移民と政治経済を分析する理論の展開を整理するため、複数の研究書を対象に勉強会を実施し、「資源の呪い」や「レンティア国家仮説」に関する最新の理論の分析を行った。 現地調査については、アラブ首長国連邦においては、ドバイの経済特区で操業する日系企業を対象に、外国人労働者の雇用方法、外国人労働者の賃金・住居・食事等の管理方法について、聞き取り調査を実施した。また、同じくドバイにおいて、外国人労働者を主に扱う人材派遣会社で聞き取り調査を行い、外国人労働者のビザ発給方法、賃金体系、リクルートメント、違法操業会社、アラブ首長国連邦の国民と移民の格差等について、調査した。 またオマーンにおいては、人材登録庁を訪問し、近年に開始されたオマーン人向け雇用創出プログラムの実施状況や、人材登録と職業斡旋業務の実態について調査した。また、統計局を訪問し、統計作成に関する政策を調査するとともに、統計資料の収集を行った。さらに、スルタン・カーブース大学を訪問し、政治経済分野の研究者達と会合を持ち、オマーンにおける移民政策に関する意見交換を行った。また、オマーン諮問評議会議員と面会し、政治改革、議会政治、議員活動、選挙活動の実態について、聞き取り調査を行った。 これらの研究活動をふまえ、翌年度に研究成果の発表を行うことを決定し、その準備として、研究成果の取りまとめと、それを元にした国際学会へのパネルの申請を行った。また、海外から研究者を招聘して日本でワークショップを開催するための準備も進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画立案時に予想していたよりも順調に現地調査が進展し、カタルを除く全ての湾岸アラブ諸国において、現地調査を実施することができた。これは、各地域を担当とする研究会のメンバーが準備を適切に進めた結果であり、また一度の研究出張において複数の対象国を訪問することができたこと(例えば、初年度にはクウェートとサウジアラビア、バハレーンを一回の研究出張で訪問し、本年度にはアラブ首長国連邦をオマーンを一度に訪問することが可能となった)が大きく影響している。 さらに、いわゆる「アラブの春」の影響が湾岸諸国で広範囲に及ぶことがなく沈静化したため、当初予想していた、現地調査にまつわる困難が予想よりも小さかったことがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
予想よりも順調に研究を進めることができていることを生かし、来年度以降は研究成果を広く日本や世界規模で発表し、多くの意見を集め、それを研究にフィードバックすることで、研究の質を高める。具体的には、日本の複数の学会で研究発表を行うとともに、国際学会でパネルを企画して本研究の成果を公表する。また、海外から研究者を招聘し、日本で国際ワークショップを開催して、研究成果を広く社会に還元することを目指す。 このために、本年度の後半から、日本の学会への発表申請や、国際学会へのパネルの申請、国際ワークショップ開催のための海外の研究者との調整や日本の諸組織との協力関係の構築を進めた。 これらの準備を元に、来年度は(1)日本の学会での研究成果の発表、(2)国際学会での研究成果の発表、(3)海外から研究者を招聘して日本で国際ワークショップを開催する、という3つの計画を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現地調査の順調な実施が可能となったため、研究計画が予想以上に進展した。このため、平成26年度以降には現地調査よりも研究成果の発信と深化に重点を置くこととした。このため、平成26年度に海外から研究者を招聘して国際シンポジウムを開催することとし、このための費用を捻出するために、物品費の支出を抑え、平成26年度に振り分けることとした。この結果、物品費は当初の予定よりも実支出額が縮小した。同様に、人件費・謝金も圧縮したため、この項目の実支出も縮小した。これにより、次年度使用額が発生した。この翌年度使用額は、上記の通り、研究の進展を踏まえた、国際シンポジウムの開催に充当する予定である。 次年度使用額は、国際シンポジウムの開催に充当する。現段階では、海外から3名程度の研究者を招聘し、日本国内の2カ所で開催する予定である。これにかかる、渡日航空券費用、日当宿泊費、国内移動費、会場費、会議費の一部を、この次年度使用額から捻出する予定である。
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Research Products
(17 results)