2013 Fiscal Year Annual Research Report
現代中東におけるムスリム同胞団の総合的研究:各国での政治活動と国際ネットワーク
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24310188
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
横田 貴之 日本大学, 国際関係学部, 准教授 (60425048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末近 浩太 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (70434701)
吉川 卓郎 立命館アジア太平洋大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30399216)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流(中東) / 中東地域研究 / 政治学 / 多国籍 / 思想史 / 東洋史 |
Research Abstract |
平成25年度は、各国のムスリム同胞団の活動実態の解明を行うと同時に、研究代表者、研究分担者、研究協力者の役割分担に応じた共同研究を行った。具体的には、以下の通り研究活動を行った。 1.現地調査・文献調査:研究代表者(横田)は、エジプトにおいてムスリム同胞団に関する研究を行った。ムスリム同胞団、関連NGO組織、協力政党「ワサト党」、現地調査機関で現地調査を実施した。研究分担者・末近は英国などでシリア同胞団について、同じく吉川はヨルダンで同国同胞団および傘下政党「イスラーム行動戦線党」について、それぞれメンバーに対する調査を実施した。研究協力者・石黒大岳は湾岸諸国にて同胞団に関する調査を行った。また、各人が調査地において資料収集に従事し、それに基づく思想分析を行った。NIHUイスラーム地域研究(上智大学拠点)との協力で、同胞団創設者ハサン・バンナーの論考集の翻訳作業を継続した。 2.研究会:研究代表者・分担者のみによる研究会を1回実施した。NIHUイスラーム地域研究(上智大学拠点)などとの共催研究会を計3回実施した。 3.情報収集・分析・データベース:研究代表者・分担者・協力者が各担当国(エジプト、シリア、ヨルダン、パレスチナ、クウェート)の同胞団関連情報を収集し、データベース用の情報収集にあたった。 以上の研究活動によって、これまで十分に解明されなかった中東諸国の同胞団の活動実態について、主に次の点を考察した。①各国同胞団の歴史・現状・思想・組織構造。②各国同胞団の活動指針となる思想構成、および創設者バンナーの思想的影響。③各国同胞団の国際的連関。なお、③については、ハンガリーで開催されたPSS-ISA学会にて研究代表者・研究分担者3名が成果発表を行った。平成25年度の研究成果は、研究代表者・分担者の3名によって、雑誌論文7件、学会発表3件、図書5件として発表済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、中東諸国で同胞団が政治的な困難に直面する事態が多発したが、当初の研究計画にほぼ従って研究活動が進められた。各国同胞団の活動実態の解明、同胞団の国際的ネットワーク研究のという年度の主な研究目的はおおむね達成されたと考えられ、その研究成果も発表されている。また、さらなる成果公開のためのデータベース用の資料・情報も収集・整理が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成26年度は、前年度までに得られた成果をもとに、各国の同胞団に関する情報・資料収集を継続し、最終成果の取りまとめを行う。研究代表者・分担者・協力者の役割分担に応じた共同研究によって、各国同胞団の比較考察・国際的ネットワークの考察を行う。そして、国際運動としての同胞団モデル構築に向けて、グループ内での情報交換を活発化させる。また、研究成果を国際学会(ISA-PDG年次大会)にて報告するとともに、最終年度の総括として国際シンポジウムを開催する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
中東諸国における同胞団をめぐる政治状況が悪化したため、複数メンバーの現地調査が困難となり、平成26年度への繰り越しが発生した。 各国の政治状況が現地調査を行える程度に沈静化しつつあるので、追加の現地調査を実施する。
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