2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24310189
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
藤倉 良 法政大学, 人間環境学部, 教授 (10274482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武貞 稔彦 法政大学, 人間環境学部, 准教授 (20553449)
吉田 秀美 法政大学, 大学院公共政策研究科, 准教授 (70524304)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ダム建設 / 住民移転 / 生活再建 / アジア |
Research Abstract |
ダム建設に伴って移転した住民の生活再建状況を調査した。対象としたダムは、早明浦ダムと草木ダム(日本)、ビリビリダムとコトパンジャンダム(インドネシア)、コトマレダム(スリランカ)、アタチュルクダム(トルコ)、ナムテン2ダム(ラオス)、ヤリフォールダムとソンヒンダム(ベトナム)の6か国9ダムである。 それぞれのダムについて、移転住民に対してアンケート調査あるいはヒアリング調査を実施し、世帯収入、家族の教育、職業転換の有無等について調査した。調査結果の詳細については、平成26年度に取りまとめる予定である。現時点までに得られた成果の概略は以下のとおり。 転住民は第二世代になると、おおむね移転前のレベル以上に生活を改善している。第一世代の多くは農民であるが、第二世代にも農業を継いでもらいたいと考えている人は少数である。第二世代自身も積極的に就農したいとは考えていない。移転の満足度は、移転後の収入の多寡よりも、収入の安定度が大きく寄与している。そして、収入の安定性を決めるために重要なのは、副収入の大きさである。コトパンジャンダムでは養殖業を始めた移転民が、ナムテン2ダムでは手工芸品の製造を行う移転民の方が、農業だけを営み続けている移転民よりも生活レベルが高く、満足度も高い。 移転先の環境に生活が大きく左右された事例もある。アタチュルクダムの移転民の場合、ダム近傍に移転した比較的裕福な農民は、土地価格の高騰のために得られた補償金では移転前と同じ面積の土地を確保することができず不満が強かった。一方、あえて遠隔の土地に移住することを選択した移転民は、移転先の雇用環境が良好であったため、収入が大幅に拡大して、満足度も高い。 また、比較のため、移転によらないインドの農村部における地域開発状況及びカンボジアにおける交通インフラ建設による住民移転を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、計画していた住民に対するヒアリング及びアンケート調査はほぼ終了した。また、当初予定していなかったベトナムのダム事例についても事例を追加することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた知見を集約して、国際学術雑誌に特集号を刊行するとともに、内容をとりまとめた英文書籍を刊行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度から25年度にかけて6地点で同時に現地調査を実施するため、その経費を研究協力者に24年度中に支払いをした。それを賄うために、平成24年度に平成25年度以降の予算を前倒しで使用した。 インドネシアのビリビリダム及びコトパンジャンダム、ベトナムの1か所のダム、ラオスのナムテン2ダム、スリランカのコトマレダム、トルコのアタチュルクダムの6か所のダムの移転住民の生活再建状況を調査する。
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Research Products
(2 results)