2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24320014
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
山部 能宜 東京農業大学, 農学部, 教授 (40222377)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 仏教学 / 仏教美術 / 石窟 / 壁画 / 禅観 |
Research Abstract |
本年度は,まず前年度に撮影した資料の処理と分析を進めた. 9月にトゥルファンとクチャでの調査・撮影を行った.トルファンではトゥルファン地区文物局の許可と協力のもと,トヨク石窟にて調査および撮影を行った.クチャでは新彊亀茲研究院の許可と協力によりクムトラ第75窟の再撮影を行い,またスバシ寺院とキジルガハ石窟を参看した.トゥルファン,クチャ両地区とも現地管理当局の協力によって円滑に調査を終えることができたが,特に川に遮られてアクセスが難しく,前回調査を断念したトヨク西岸の調査が今回実現したことは非常に有意義であった.クムトラ第75窟に関しては以前にも撮影を試みているが,今回は最新の機材を用いて撮影することにより,以前のものよりはるかに良好な画像を得ることができた.これらの成果については,事前の合意に基づきそれぞれの管理当局に画像を提供し,現在発表準備を進めている. 今回のトヨクの成果については,現在ウィーンで出版準備が進められている論集で発表する予定である.本論集は既に編集の最終段階にあるので,近く刊行されるものと思われる.クムトラの成果については,平成26年度にエルサレムで行われる学会で発表の予定である. また,中央アジア成立と思われる漢文禅観経典『観仏三昧海経』にみられる釈尊の陰馬蔵相をめぐる奇妙な説話の展開を,美術および文献資料を参照しつつ検討する拙稿が,学術書India in the Chinese Imaginationに収載された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り,概ね順調に研究は進行し,成果が上がっている.
|
Strategy for Future Research Activity |
新たな資料の撮影および既撮影資料の画像処理を推進するとともに,禅観の文献的・教理的背景の解明にも力を注ぎ,仏教における禅観の展開を総合的に解明していきたい.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初はLEDライトを特注することを予定していたが,市販されている安価な新式のLEDライトを試験的に使ってみたところ,予想以上に性能の良いことが解ったため,想定よりも出費を抑えることができた. LEDライトについては,市販のものを今後も使う場合,もう少し数を増やす必要がある.ライトの買い増しや,それに付随する機器,また必要なレンズの買い増し費用等に充てる予定である.
|