2013 Fiscal Year Annual Research Report
人形浄瑠璃文楽の音楽学的復元上演に関する基礎的研究
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24320042
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
山田 智恵子 京都市立芸術大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10388316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 静夫 京都市立芸術大学, 公私立大学の部局等, その他 (50381926)
竹内 有一 京都市立芸術大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60381927)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 人形浄瑠璃文楽 / 古楽譜 / 復元研究 / 日本伝統音楽 / 日本近世演劇 / 浄瑠璃本 / デジタル撮影 / 義太夫節 |
Research Abstract |
全体構想は、我が国が世界に誇る伝統演劇「人形浄瑠璃文楽(にんぎょうじょうるりぶんらく)」の、伝統の実体に迫り、以て当該演劇の一層の隆盛を大目標とするものである。人形浄瑠璃文楽の喫緊の課題は、上演演目の多様化で、こんにち伝承を失った、また失いつつある演目を、現行レパートリーに組み入れていく必要がある。 本研究課題は、その基礎として上演の途絶えてしまった作品・場面を復元上演するに際しての、(1)技術的・方法論的な理論研究と、(2)日本国内に散在する古楽譜をデジタル画像化して集積し、望ましい上演本文・楽譜を作成することの、実験的復元研究を試行するものである。 申請書に計画した通り、二年度には次の三事業を進めた。【I、現行レパートリーの伝承の洗い直し】人形浄瑠璃文楽の現行演目の内、「通し とおし」「建て・立て たて」と呼ばれる全段上演の可能な演目について、段・場面ごとに江戸時代以来の上演史への理解共有を図った。研究代表者・研究分担者・研究協力者、および文楽座技芸員による研究会を開催した。【III、復元作業に必須の古楽譜のデジタル画像の収集】浄瑠璃本では三味線の楽譜は朱色の墨で記されることから、「朱譜」「朱」と呼ばれる。本研究課題では基礎資料とすべく、通し本の朱入本をカラーデジタル画像として収集する。大東急記念文庫・文楽協会・札幌大学図書館・神津武男各所蔵本を撮影した。【IV、復元作業に有用な資料調査の充実】抜き本の所在調査・書誌研究を進める。通し本の三味線譜を補完する資料として、抜き本・稽古本がある。復元研究の参照資料として、抜き本の所在調査・書誌研究を進める。研究協力者に担当させ、抜き本の所在調査・書誌調査に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請予算から減額されての採択であったため、全体的に縮減して進めなければならない。当初収集したいと考えた資料数を絞り込むこと・研究会開催数を減らすこと以外は、おおむね順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年平成24年度・二年平成25年度の事業を通して、今次の事業年限内に達成し得る範囲が具体化しつつある。このため残りの二年間は、従前二年間の延長線上で、着実な事業の推進に努めたい。 具体的には本研究課題では、「義太夫節」の復元研究が中心となる。復元に必要な資料の収集の大半を終えており、三年平成26年度以降は技芸員との共同討議を行ない、さらに必要な資料の収集・調査を進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に購入したノートパソコンが故障した。年度末近くに、修理可能か否か診断を待ったために、その他の支出を控えるところがあった。しかし、修理費用見積は予想外の高額であったため、修理は見送らざるを得なかった。よって、年度全体の1%ほどを繰り越した。 次年度は、文楽座技芸員との連携をより緊密にはかりつつ研究会を開催する予定であり、そのための人件費にあて、支出する。
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