2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24320045
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
草原 真知子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40271366)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メディアアート / 戦後前衛芸術 / デバイスアート / 現代美術 / インタラクティブ・アート / テクノロジー・アート / CG |
Research Abstract |
日本のメディアアートの成立過程と現在の様相を総合的に捉え、戦後前衛芸術及び多様な視覚メディアの実験が融合して現在のメディアアートが成立したプロセスを明らかにするという本研究の目的に沿って、戦後前衛芸術運動に関する国内外の資料の探索と収集を集中的に行った。また、インタビュー等を行い、一次資料の集積を図るという本研究の一環として、ナムジュン・パイクの協力者であった阿部修也氏を招いて伝説的なパイク・アベ・シンセサイザーの公開実験、解説、及びジョン・ケージのピアノ曲の生演奏との共演により当時を再現する試みを行った。これは画期的な試みであり、本研究に直接資するだけではなく、戦後前衛芸術、ビデオアート、メディアアート、映像史の各分野の研究者が参集したことで今後のこれらの分野の研究全体に貢献したと考える。 50年代から70年代までの前衛芸術運動を今日のメディアアートの視点から振り返るという点では、このテーマに絞った研究成果をBlackwellよりメディアアートのテキストとして刊行予定の論文集に寄稿するため、本年度の多くの時間を費やした。現在、原稿は編集者によるチェックの段階である。またRoutledge より現代の日本のメディアアートについて、やはりメディアアートの教科書として出版予定の論文集に寄稿を求められ、7月末の提出期限に会わせて今後、執筆予定である。 当該年度では学会発表は行わなかったが、上記のシンポジウムの開催のほか、フランス大使館主催のDigital Choc関連シンポジウムで日仏のメディアアートに関するセッションの司会、戦後前衛芸術運動の主要人物である飯村隆彦氏とのトークイベントを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究内容のうち、メディアアートの視点から見た戦後前衛芸術について分析するための日本の戦後前衛芸術運動に関する資料収集が順調に進み、また多くの関連展示を見学、担当者と意見交換を行うことができた。但し、集めた資料が膨大であるため、まだすべてに目を通すには至っておらず、2014年度に分析を続行する。 メディアアートの視点から見た日本の戦後前衛芸術というテーマについてはこれらの資料に基づいて研究を進めており、当面の研究成果を英語で執筆した。現在、編集者による作業が進行中であり、その結果を待って、さらに加筆などを行う予定である。 一次資料、映像資料の整理・アーカイヴ化については、RAの健康上の理由で年度後半の作業が滞ってしまったため、2014年度に集中的に行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現代のメディアアートがどのように歴史的な流れと接続しているかの分析が中心となる予定である。日本のメディアアートの諸様相と戦後前衛芸術運動との関係性について、収集した資料やヒヤリング等に基づいて分析を進める。また、ロボットアートをキーワードにしたシンポジウムあるいはトークイベントを行う予定であり、これによってテクノロジーとアートの関係についての流れをロボットという切り口から分析する糸口としたい。また、日本のメディアアートについてpop cultureとの関係からの視点について分析する作業にこれから取りかかり、7月末の英文原稿締切に向けて執筆する。映像資料の整理と今までに行った関係者ヒヤリングやシンポジウムの資料の整理については、前年度はRAの健康上の理由で遅れしまったため、この1年間で別のRAにより遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
映像資料とヒヤリングなどの資料の整理がRAの都合によりできなかった部分があり、その分の人件費が未使用となった。また、入手が困難な資料について、一部の書籍の海外からの到着が3月になり、伝票締切の時期に間に合わず結果的に個人負担となってしまったため、その分として予定していた予算が未使用となった。 今年度はRAの作業を強化して資料の整理を集中的に行うことを予定している。
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Research Products
(1 results)
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[Book] A Companion to Digital Art2014
Author(s)
Christiane Paul, Ed Shanken, Machiko Kusahara, Tim Druckrey, Sean Cubitt, Erkki Huhtamo , McKenzie Wark 他
Total Pages
500
Publisher
Blackwell