2013 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀以前の日本と東アジアの〈仏伝文学〉をめぐる総合的比較研究
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24320051
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小峯 和明 立教大学, 名誉教授, 名誉教授 (70127827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 文京 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (60127074)
増尾 伸一郎 東京成徳大学, 人文学部, 教授 (60183943)
鈴木 彰 立教大学, 文学部, 教授 (40287941)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 仏伝文学 / 東アジア / 19世紀以前 / 比較説話 / 国際情報交換、中国、韓国、ベトナム |
Research Abstract |
1.国内調査は沖縄をはじめ、和歌山県などで実施し、八相涅槃図など貴重な資料を発見することができた。また、古書目録の検索から、清朝版の『釈氏源流』の手彩色本の存在が確認できたのもおおきな収穫であった。さらに明治期の近代仏伝に関しても収集を継続しており、殊にほとんど知られていなかった仏伝の講談速記本を入手できたのも今後の研究動向にかかわる面で意義がおおきい。 2.海外調査では、中国の北京国家図書館や清華大学図書館、韓国のソウル大学奎章閣、東国大学図書館、ベトナムのハノイ漢喃研究院、ホーチミン市の恵光修院、ニューヨークのメトロポリタン美術館などを対象に行った。ことにベトナムでは、従来知られていなかった刊本の挿絵付きの『釈迦如来応現録』なる伝本を複数発見、今後の研究の焦点になることが予想される貴重な成果であった。 3.研究会は、昨年度からスタートした北京での『釈氏源流』の輪読会を継続的に行い、順調に進展することができた。伝本探索もさらに充実しつつあり、テキストの半分近くまで読み進めている段階である。また、韓国での研究会は具体的な実現には至らなかった。資料の調査収集と併行して準備を進めており、近々発足させる方向で検討中である。朝鮮版の『釈氏源流』の調査収集も、北京の研究会とも連動させる形で推進させた。 4.国際シンポジウムに関しては、北京の日本学研究センターやハノイ大学、ソウル大学、ニューヨークのコロンビア大学等々で、講演やセミナー、研究発表等々を行い、仏伝と異界、女性と仏教、東アジアの文学圏、言葉とイメージ等々の課題から多角的多層的に検証する機会に恵まれ、総合的な成果としてまとめうる足がかりを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内、海外ともに資料の調査と収集が円滑に進展し、いくつかの貴重な資料とめぐりあうことができた。 また、海外における研究会や国際シンポジウムなどの場で東アジアと日本の仏伝文学を多様で多彩な角度から検討する機会をもつことができた。以上、主に2点による。
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Strategy for Future Research Activity |
さまざまな場で発見できた貴重な資料群を今後どういかすかが問題で、まずはスキャンなどデータ化をすすめ、翻刻や校訂作業を推進し、できるだけ速やかに公刊し、広く学会や一般に共有しあえるようにする。 また、さまざまな場で講演や発表した研究成果を個々ばらばらのままではなく、総合的体系的なかたちでまとめられるよう、さらに拡充をはかり、新年度に計画中の国際シンポジウムで仕上げをはかり、すみやかに出版できるよう対策を講じる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度は、規模のおおきい国際シンポジウムを予定しており、そのための旅費などの予算を確保するため、次年度に繰り越すようにした。 立教大学で開催する予定の国際シンポジウムで、海外から招待するメンバーの旅費に充てる計画である。
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Research Products
(12 results)