2012 Fiscal Year Annual Research Report
科学の知と文学・芸術の想像力-ドイツ語圏世紀転換期の文化についての総合的研究
Project/Area Number |
24320061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鍛治 哲郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30135818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 宗五 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10134404)
田中 純 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10251331)
市野川 容孝 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30277727)
長木 誠司 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50292842)
梶谷 真司 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (50365920)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヴィルヘルム・グリージンガー / ゴットフリート・ベン / 精神医学 / 生物学 / ムラージュ / エレファントマン / 沼田仁吉 / 伊藤有 |
Research Abstract |
7月21日に全員による最初の研究集会を開催し、市野川がヴィルヘルム・グリージンガーの精神医学を紹介しながら19世紀半ばから20世紀にいたる医学や生理学と精神医学との関係について、また鍛治がゴットフリート・ベンの文学と生物学について論じた後、二つの発表をもとに自然科学の知識と文学・芸術の表現形式および内容との時代的平行性、影響関係について議論を行い、本プロジェクトの皮切りとした。12月には、田中が企画した「ムネモシュネ・アトラス展―アビ・ヴァールブルクによるイメージの宇宙」に共催者として協力した。この展覧会は、古代から同時代に渡るヨーロッパの記憶の集積を一定のイメージとして構成しようとするヴァールブルクによる試みを、今日に再現してみせた画期的な企画である。ヴァールブルク自身世紀転換期を生きた学者であったが、彼によって選択されたイメージを広く同時代の文化との関連のなかにおいて検討する機会が与えられ、多くの示唆をえることができた。3月18日には石原が主催して、学外から壇原宏文(北里大学)、横山千晶(慶應大学)の両氏を招いて、コロキウム「医学と芸術―近代皮膚科における教材と日独学術交流」を開催した。世紀転換期の衛生学の有り様、病の表象の仕方、ドイツからのムラージュの受容と日本のムラージュに見られる独創性など、多様な観点からドイツとヨーロッパの医学と芸術表現の結びつきについての発表がなされた後、活発な議論が交わされ、今日までほとんど顧みられてこなかった医学標本を巡るドイツ語圏での実情および日本との交流が明らかにされた。また、下記研究発表欄にもあるように、プロジェクト参加者は本科研の研究目的を念頭におきながら、それぞれの分野で活発な活動を展開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4月、7月、12月に開催した関係者全員による会議ないしは研究会と、3月18日のコロキウムを通して、医学および生物学の発展が文学、芸術、文化に対して果たした役割を確認するとともに、それぞれの領域間にとって新たな知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度と動揺に、研究会と講演会、コロキウムの開催を通して、本年度のテーマを中心に研究を進める。また、国内で類似の研究テーマと取り組んでいる研究組織と共同の企画を組み、新たな視点の導入を図りたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
金額の大きい文献の購入を予定しているために、また今年度の海外での資料調査と研究打ち合わせへの希望を考慮して、本年度に繰越を行った。
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Research Products
(30 results)