2012 Fiscal Year Annual Research Report
ポストエスニック時代の文学におけるオムニフォンの意義
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24320068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
土屋 勝彦 名古屋市立大学, 人間文化研究科, 教授 (90135278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 敬子 名古屋市立大学, 人間文化研究科, 教授 (70197440)
沼野 充義 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (40180690)
今福 龍太 東京外国語大学, 人文社会系研究科, 教授 (10203324)
菅 啓次郎 明治大学, 理工学研究科, 教授 (00328965)
山本 明代 名古屋市立大学, 人間文化研究科, 教授 (70363950)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | オムニフォン / 越境文学 / 世界文学 / 辺境言語・文化 / 少数言語・文化 / ポストコロニアル文学 / 群島 / ボーダーランド |
Research Abstract |
本研究は、越境、移民、植民、離散、強制移住等によって母語を喪失ないし内化し、居住国の言語による文学創造に向かった越境的作家たちの諸作品に通底する多層的多重的な文学ディスクールのあり方を、ポストコロニアル文学理論やポストモダン文学理論といった歴史的視点のみならず、空間的な同時性をとらえる「群島的思考」から再検討することにより、そこに相互反響する「オムニフォン」の動的構造を解明することにある。今年度は、12月にシンポジウム「世界文学におけるオムニフォンの諸相」を開催した。これはドイツ語圏作家における多言語・文化性、東欧語圏作家における多言語・文化性、ダイアレクトから世界へ、超えながら書く-台湾、日本、中国、アメリカという4つのセクションに分かれて、当該分野の最前線で活躍している研究者たちや作家たちが一堂に会して、研究発表と討議を行ったものであり、その成果を報告集としてまとめた。東欧地域の多文化・言語性と文学創造の諸問題、ダイアレクトの持つ近代国家言語への抵抗と世界文学への展開、ロマンス語地域における少数言語の抵抗する起爆力、そして創作者による越境することの意義が論じられ、オムニフォン的な世界文学の諸相について知見を深めた。いずれもオムニフォンの諸相を、東欧、南欧、南米、台湾、中国、日本などにおける「少数言語」や「辺境言語」からグローバルな支配言語への抵抗と葛藤のあり方として確認し、そこから世界文学への可能性を見ようとする趣旨が充分に活かされている。また本研究者たちは、それぞれの主題について研究を継続し、それぞれの成果を学会誌や紀要などに発表し、学会などでも口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各研究者は、それぞれの研究を精力的に継続しつつ、2日間にわたるシンポジウムを開催し、世界文学におけるオムニフォンの諸相について知見を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もシンポジウムの企画をはじめ、精力的に共同研究を推進していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
11月にドイツ語圏の作家たちを招待し、多言語・文化性をめぐってシンポジウムを行う予定である。そのために研究代表者は本年度予算の一部を残し、他の基金をも調達することで、成功裏にシンポジウムを実現したいと考えている。またそれぞれ海外調査・面談を精力的に行う予定である。
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Research Products
(28 results)