2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24320076
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳沢 民雄 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (80220185)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 北西コーカサス諸語 / 言語類型論 |
Research Abstract |
本研究は北西カフカース諸語(アブハズ語、ウビフ語、チェルケス語から成る同系統の言語群)の言語特徴をデータベース化し、その類型的特徴を記述することを目的としている。今日まで調査研究してきたアブハズ語のデータを基にして、これとウビフ語とチェルケス語のデータを比較し、北西カフカース諸語の音韻、形態論、統語論にわたる類型論的な言語特徴を解明することを目的にしている。 具体的には音韻、形態論、統語論の三分野に分けて研究する。 平成24年度は次の三分野について研究を実施した。 1.音韻論の分野:ウビフ語の資料を用いてアクセントを調査する研究実施計画を立てた。今年度はウビフ語テキストを辞書形式にデータベース化し、語形変化のアクセント移動を調査した。ウビフ語においてもアブハズ語と同じアクセント原理が働いていることを確認した。2.形態論の分野:アブハズ語ブジィプ方言とチェルケス語の動詞形態をまとめる研究実施計画を立てた。今年度の実績はブジィプ方言テキストをデータベース化し、語彙集を作成した。この成果として、本年出版したA Grammarof Abkhaz(ひつじ書房)にFeatures of the Bzyp Dialect (pp. 402-420)を発表した。またチェルケス語については文献資料とともにフィールド調査を行い、動詞構造を調査した。3.統語論の分野:アブハズ語の語順を民話テキストを用いて調査する研究実施計画を立てた。この成果としてA Grammar of AbkhazのSyntaxの章にアブハズ語の語順についての記述を加えることができた。またチェルケス語のインフォーマントから、単文と格の用法を調査した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アブハズ語方言の動詞を中心とする形態論、アブハズ語の語順、およびウビフ語資料をもちいたアクセントの調査は順調に目的が達成している。この研究の成果の一部はすでに著書の中に発表した。またアブハズ語方言とウビフ語の資料をデータベース化した。チェルケス語のフィールド調査はインフォーマントの都合により、計画していたほど十分に資料を収集できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
アブハズ語とウビフ語については今後も順調に研究を遂行できると思われる。チェルケス語についてはインフォーマント調査を継続するが、フィールド調査から資料を十分収集できない場合には、文献調査やチェルケス語の専門家との研究協力を行って行く計画である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該助成金は資料整理の謝金として計画していたものであるが、アルバイトが都合によりできなかった。翌年度に謝金として使用する計画である。
|
Research Products
(5 results)