2014 Fiscal Year Annual Research Report
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24320079
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保 智之 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (30214993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児倉 徳和 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (70597757)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シベ語 / イントネーション / 借用語 / 満洲語 / 読音 / 現代ウイグル語 |
Outline of Annual Research Achievements |
久保は、26年度に実行できなかった現地調査を、中国新疆ウイグル自治区のイーニン市内において、1週間程度実施した。これまでの調査で欠落していた部分(イントネーション、漢語からの借用語の音韻論、主な構文のタイプなどについての調査の一部)の補充調査を行なうとともに、新たに、シベ語話者の満洲語の読音について調査を行なった。シベ語話者の中でも高齢の話者は、文字言語として満洲語を使用することができる。その読音についての調査は、今まで行なわれていない。今回の調査で、満洲語の音節構造や、母音連続の処理に関する興味深いデータを得ることができた。具体的には、Ciya, Cuwa など、半母音の y, w を含む連続について、すべてが1音節で読まれることを確認した。 また、研究協力をいただいているイリ師範学院の賀元秀教授らと、今後のシベ語調査や交流の計画について、具体的な計画を協議した。2016年度には、イリ師範学院から数名の研究者を招聘し、福岡と東京で研究会を開催する予定である。 これらのほか、日本においては、語彙集作成のためのデータ整理を行なった。また、日本在住のウイグル語話者の協力を得て、現代ウイグル語との対照研究を引き続き進めた。構文の対照研究、音調の対照研究などである。両言語は、アクセントやストレスの区別が一部でしかされない言語と言ってよいが、類似した特徴を多く持っている。それが、同じ地域で話されていることによる地域特徴なのか、言語の構造が類似していることによる類似なのか、研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中国新疆ウイグル自治区という少数民族居住地区は、政治的な情勢が複雑であり、研究協力機関であるイリ師範学院も、外国人研究者の受入について、ここ数年、極めて慎重な姿勢をとっている。このため、現地調査を、日本側の予定どおりの時期に、予定通りの期間に亘って行なうことが、難しいため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度が最終年度となるが、夏期に短期間の現地調査を行なうことについては、研究協力機関であるイリ師範学院の了解を得ている。同時に、国際シンポジウムにも参加する予定である。また、現地から数名の研究者を招聘し、日本でシンポジウムを開催することも予定している。このようにして、最終年度のまとめを行ないたい。
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Causes of Carryover |
中国新疆ウイグル自治区の政治情勢により、現地調査の時期、期間などが日本側の予定どおりに行かなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、中国新疆ウイグル自治区で現地調査を行なうため、及び日本国内でシベ語と現代ウイグル語との対照研究を行なうため等に使用する。
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