2012 Fiscal Year Annual Research Report
災害対応のための方言活用システムと方言ツールの開発
Project/Area Number |
24320084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hirosaki Gakuin University |
Principal Investigator |
今村 かほる 弘前学院大学, 文学部, 准教授 (50265138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩城 裕之 呉工業高等専門学校, 准教授 (80390441)
中島 祥子 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (80223147)
工藤 千賀子 弘前学院大学, 看護学部, 講師 (70405728)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 方言 / 災害 / 国語学 / 減災 / 医療 / 看護 / 東日本大震災 |
Research Abstract |
本研究は、東日本大震災でも起こっている、各地から派遣された支援者が、被災者の話す方言を聞き取れない・理解できずに活動に支障を来しているという社会問題に対し、「応用方言学」の取り組みによって解決方法を見出すことを目的としている。具体的には、以下の3点である。 1.東日本大震災の支援者に、これまでの研究成果に基づき、すぐに活用できる方言ツール(リーフレットや避難所に貼るポスター、ポケット版方言資料)の作成・配布をする。 2.今後発生することが予想されている災害に備え、支援者のニーズと各地の実情に合わせた方言ツールを開発し、減災のための準備をする。 3.東日本大震災で必要性が確認された医療者・自治体支援者のための方言通訳ネットワークやボランティアへの講習・教材の提供など、地域社会に貢献できる人的方言資源活用のシステム作りをする。 そのため、平成24年度は、第一に、弘前において災害準備・減災のための方言ツールの開発準備をおこなった。それにより、支援ツールの活用に必要な改善点が明らかになった。また、試作版として青森県・津軽方言、岩手県・一関方言、宮城県・仙台方言、福島県・福島市方言の方言支援ツールとして、方言身体語彙図のポスターを作製した。 第二には、これまで厚生労働省からの自粛の求めがあって行えなかった、災害派遣に応じた医療者・関係者に対する大規模調査を、今年度は実施できた。インターネット調査会社による大規模アンケート調査と、郵送による大学病院・国立病院・赤十字病院勤務者を中心とした自記式アンケート調査を行った。それにより、災害時に有効な支援ツールと方言の理解に対して求められるものが何であるのか、貴重なデータが得られた。この成果の一部は、大学共同利用機関人間文化研究機構の連携シンポジウム「災害と人文研究」において、今村が報告した。 第三に医療コミュニケーション場面のシナリオを、徳島と富山で作成し、富山では撮影も行った
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被災地支援ボランティア団体が、既に活動を終了している場合が多くなっているため、当初、計画したよりも、人的支援のネットワークづくりが遅れ気味である。 しかし、当初、予定していていた医療関係者に対する調査は、web調査に加え、郵送によるアンケート調査を実施し、災害派遣における方言の問題に関する基礎的データが順調に収集できたため、研究が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度収取した基礎データを基に、全国的なレベルで汎用性の高い災害対応方言支援ツールの開発を中心に行い、見本の作成・マニュアル化を試作する。また、学会において、成果の発表と、研究活動への協力の呼びかけを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、成果報告を中心とした活動を行う。開発した災害対応方言支援ツールを、各地点で開発・検証する。 その際、日本語教育の観点からも加え、外国人看護師・介護士に対する提供も行えるように配慮する。
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Research Products
(7 results)