2014 Fiscal Year Research-status Report
「アラブの春」の社会史的研究―エジプト「1月25日革命」を中心に―
Project/Area Number |
24320138
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大稔 哲也 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10261687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 美佐子 名古屋商科大学, コミュニケーション学部, 教授 (80321024)
山岸 智子 明治大学, 政治経済学部, 教授 (50272480)
岩崎 えり奈 上智大学, 外国語学部, 教授 (20436744)
齋藤 剛 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (90508912)
植村 清加 東京国際大学, 商学部, 講師 (30551668)
内藤 順子 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (50567295)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アラブの春 / エジプト1月25日革命 / ジャスミン革命 / 国際情報交換(エジプト・チュニジア他) / 国際研究者交流(エジプト・チュニジア他) / 国内研究者交流 / エジプト / アラブ |
Outline of Annual Research Achievements |
実質的な最終年度である本年度は、海外の研究者による講演会や国内の若手研究会、そして海外調査などを通じて、比較研究の方法論について熟議し、参加者各自が最終報告書の論稿作成のためのテーマを定めた。 第1に、R・ムニーラ・シャプトー氏(チュニス大学名誉教授)を迎え、チュニジアのジャスミン革命について御講演いただいた(平成26年11月11日)。氏は同革命に深く関与すると共に、歴史家としてこの革命を注視してきた。講演会では、エジプトとチュニジアにおける「アラブの春」とその後の展開について、軍の在り方など大きな相違点が浮き彫りとなった。 第2に、若手研究者を中心とする研究会を4回開催し、他地域の事例と比較検討した上で、エジプトの過去の革命についても考察を加えた。すなわち、平成26年7月26日には、山岸智子氏(分担)がイラン・イスラーム革命におけるシュプレヒコールとの比較研究を行い、齋藤剛氏(分担)はモロッコへのアラブの春の影響を論じた。12月4日には、論集作成へ向けた検討会を行い、植村清加氏(分担)はフランスの近年の事例を紹介した。さらに12月16日には、内藤順子氏(分担)が南米における「革命」の含意との比較考察を行い、チリの事例から中東の事例を照射した。平成27年1月24日には、エジプトの過去の革命との比較研究会を開催し、勝沼聡氏(東京大学)が1919年革命、池田美佐子氏(分担)が1952年革命について論じた。 第3に、参加者は各自、可能な範囲で海外調査を行った。内藤氏と勝沼氏の派遣は本科研費によるものであり、各々スペイン・イギリスで関連資料の渉猟に努めた。報告者も平成26年9月にエジプト調査を行い、聞き取り調査を継続すると共に、E・アブー・ガーズィー氏(元文化大臣)らと、革命後の政治状況や革命研究の現状について意見交換を重ねた。以上の研究活動の結果、現在、研究論集をまとめつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、エジプト1月25日革命を中心に、「アラブの春」について、方法論的な議論を重ねたのち、幾つか主要な論点を抽出し、熟議することができた。そのためにチュニジア・ジャスミン革命に深くかかわったR・ムニーラ・シャプトー氏(チュニス大学名誉教授)による講演会を開催したほか、来日中であったエジプトのG・ファウズィー氏(ライラ書店社主)からは、革命後のエジプトにおける出版事情について、貴重な情報を得ることができた。 また、本年度も継続して、若手研究者を中心とする国内研究会を4回開催し、アラブの春やエジプト1月25日革命についての知見を深めると共に、論点を幾つかへ収斂させるべく努めた。とりわけ、今回の革命の時期区分などについて議論したほか、エジプトの過去の諸革命や、イラン・チュニジア・モロッコ、南米の事例との詳細な比較検討を行うことができたのは大きな収穫であった。 さらに、報告者(大稔)と内藤順子氏(研究分担者)、勝沼聡氏(東京大学・研究連携者)が、各々、エジプト、スペイン、イギリスで関係資料の蒐集に当たったほか、現地調査を行った。特に、報告者はエジプトにおいて、研究協力者であるE・アブー・ガーズィー教授(カイロ大学・元文化大臣)、K・アザブ博士(アレクサンドリア図書館)、L・マフムード博士(アレクサンドリア図書館)、M・アフィーフィー教授(カイロ大学)らとエジプト革命の評価とその後の展開をめぐって白熱した意見交換を重ねることができた。 これらによって、現在、研究論集を鋭意編集中であり、その公刊を目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
2ヶ月程度の研究期間延長をいただき、研究会を1回追加した上で、最終報告書の編集作業を拡充し、印刷を行う。また、この報告書をもとにした研究論集の公刊を目指している。
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Causes of Carryover |
平成26年度、研究分担者・連携協力者の中に、長期在外研究者、体調を崩した者や出産した者が出た。また、昨今の中東やイスラームをめぐる情勢から、中東現地出張の予定変更を余儀なくされた。さらに、研究代表者の異動に伴い、新環境で作業に想定以上の時間を要した。このため、平成27年度に研究会を1回追加し、2ヶ月程度の猶予をいただいて、報告書の編集作業を拡充したうえ、印刷を行いたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に研究報告書の編集作業の拡充と印刷を行い、未使用額は全て印刷経費に充てる。
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Research Products
(32 results)
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[Book] 悠書館2015
Author(s)
齋藤剛(部分執筆)
Total Pages
420
Publisher
〈断〉と〈続〉の中東―非境界的世界を遊ぐ
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