2015 Fiscal Year Annual Research Report
18・19世紀北大西洋海域における海民の文化空間と海のリテラシー
Project/Area Number |
24320153
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
田中 きく代 関西学院大学, 文学部, 教授 (80207084)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥後本 芳男 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (00247793)
佐保 吉一 東海大学, 文学部, 教授 (00265109)
田和 正孝 関西学院大学, 文学部, 教授 (30217210)
竹中 興慈 東北大学, 国際文化研究科, 名誉教授 (50145942)
合田 昌史 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (60202074)
辻本 庸子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (70217313)
金澤 周作 京都大学, 文学研究科, 准教授 (70337757)
阿河 雄二郎 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 名誉教授 (80030188)
横山 良 神戸大学, 国際文化学研究科, 名誉教授 (30127873)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 大西洋海域史 / 海のリテラシー / 海を飼いならす / 海民 / 移動ネットワーク / テキスト / 文化共同体 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の海の研究では、周知のように、世界システム論や大西洋革命論に刺激されて、多くの北大西洋を一環として捉える研究が生まれたが、それらは経済的次元を重視するあまり、文化的次元にまで踏み込むものは少なかった。本研究は、B・ベイリンのAtlantic History、B・クレインらのSea Changes、・レディカーらのThe Many-Headed Hydra、A・カバントゥのLa mer et les hommesなど一連の研究に影響を受けて、海に生きる人々の世界に、文化的次元から切り込み、北大西洋海域における全体史としてのアトランティック・ヒストリーを描こうとするものである。 北大西洋の海は、十八世紀に入ると、航海術などの情報はほぼ行き渡り、かなり安定した航海が想定されるようになった。しかし、少なくとも十九世紀末から二十世紀初頭に、輸送船が実質的に帆船から蒸気船に代わる頃まで、帆船の時代は危険と背中合わせで、海を知り、船を知るための情報を常に最新のものに書き換え、それを着実に利用する能力である「リテラシー」を磨かなければならなかった。 こうした問題意識から、本年度は、海民(海に生きる人々)のあり様を通して、リテラシーの実態を見極めることに努めた。そして、『海のリテラシー』(創文社)として、そうした成果を刊行するために、完成原稿を準備した。 また、具体的に帆船時代の海の状況を知るために、帆船や汽船の操船経験者で研究者である方々に、操船に関するレクチャーを受けた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、田中きく代他編『海のリテラシー』(創文社、2016年8月予定)の刊行のため、研究代表者、研究分担者、協力者は、研究のまとめに終始した。研究がある程度まで進んだことを意味しており、あとは編集作業が残るのみである。研究会では、それぞれの進捗状況の報告と同時に、実践的に船に従事されている研究者から、帆船時代、蒸気船への転換期の操船に関する情報を得た。これも、貴重な経験であった。 一方で、本年度は、海外の研究者を迎え、ラウンドの研究会を開く予定であったが、先方の都合で、それは実施できなかったため、来年度に再び計画している。また、1名の研究分担者の海外調査が実施できなかったが、それも来年度に予定している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究成果の公刊を重点的に進める。田中きく代他編『海のリテラシー』(創文社、2016年8月)の刊行が予定されており、あとは校正などの編集作業が残るのみである。 昨年度、開催できなかった、外国人研究者を交えたラウンド形式の研究会を実施する予定である。 研究分担者の一人が、まだ調査が完了していないので、フランスで調査する。また、刊行する書物での共通見解を広げ、北大西洋海域での成果を、世界の他の海域との比較検証を可能とする方向性を見出すのも、大きな目標である。
|
Causes of Carryover |
ラウンド式の国際研究会を、招聘しようとした外国人研究者の都合で、開催できなかったため。業務の多忙により、研究分担者の一人が海外調査を実施できなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
ラウンド式の国際研究会を開くための招聘費用と、研究分担者の一人が海外調査を実施する旅費に、未使用額を充当する。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 石干見の文化遺産化2015
Author(s)
田和正孝
Organizer
第5回九州沖縄スクイサミット in 島原
Place of Presentation
島原文化会館(長崎県、島原市)
Year and Date
2015-10-03
Invited
-
-
-