2013 Fiscal Year Annual Research Report
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24320163
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
松村 恵司 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, その他部局等, 所長 (20113433)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 出土銭貨 / 考古学 / 貨幣史 / 経済史 / 和同開珎 |
Research Abstract |
1 和同開珎出土遺跡情報の収集と整理:データベース「和同開珎全国出土遺跡一覧」の作成に向けて、和同開珎を出土した775遺跡について、昨年度に引き続き発掘調査報告書から出土情報の収集・整理作業を継続した。 2 和同開珎出土遺跡分布図の作成:和同開珎の出土分布図作成のため、旧国単位に官道の路線、郡境、国府、駅家の位置を入れた「古代国郡図」を作成し、そのデジタルトレースに着手した。出土遺跡の位置情報をもとに、地図の地番検索を利用して古代国郡図上に正確な出土地点を落とす作業を進めた。その結果、古代道路の路線復元に研究上の精度的課題は残るものの、出土遺跡と官道、官衙との位置関係が明確になりはじめた。分布図の作成は、1と並行しながら次年度も継続する予定。 3 「日本古代貨幣関係史料集稿(一)」の作成:日本古代貨幣史・経済史に関連する文献史料の網羅的な集成をおこない、年代順に整理して「日本古代貨幣関係史料集稿(一)」を作成し、『和同開珎の生産と流通(一)』に収録した。 4 『和同開珎の生産と流通(一)』の刊行:本研究の中間報告として『和同開珎の生産と流通(一)』を刊行し、前年度に執筆した和同銀銭に関する論考と研究協力者の関連論考2本、そして3の「日本古代貨幣関係史料集稿(一)」を収録した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では年度内に和同開珎出土分布図を完成させる予定であったが、官道のルート復元や、駅家の位置が不確定な国が多く、歴史地理学の最新の研究成果の収集に手間取り、旧国単位の古代国郡図の作成とデジタルトレースが遅れ気味である。本研究は、和同開珎の出土遺跡を古代の歴史的環境下で分析、評価する必要があり、和同開珎出土遺跡と官道、官衙の正確な位置関係の把握は欠かせない。このため次年度も出土分布図の作成作業を継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
和同開珎出土分布図の作成作業を優先する。旧国単位に和同開珎出土遺跡の分布状況を分析し、官道と官衙、寺社などとの位置関係から出土遺跡を分類し、出土銭が経済的使用に伴う遺失貨か、祭祀的に使用されたものかを考察する。和同開珎の生産に関する研究では、平城宮・平城京出土銭の計測値から、和同開珎生産時の規格の解明に取り組み、官銭と私鋳銭の判別方法を模索したいと考える。データベースの構築は、設計を外部に委託して作業の効率化を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた研究集会が延期となったため。 今年度実施できなかった研究集会の開催費用(旅費・謝金)に使用するものとする。
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Research Products
(9 results)