2012 Fiscal Year Annual Research Report
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24330027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
小塚 荘一郎 学習院大学, 法学部, 教授 (30242085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
胥 鵬 法政大学, 比較経済研究所, 教授 (60247111)
大杉 謙一 中央大学, 法務研究科, 教授 (80233112)
松井 智予 上智大学, 法学研究科, 准教授 (70313062)
松中 学 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (20518039)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 会社法 / コーポレート・ガバナンス / 取締役会 / 独立役員 / 民事法学 |
Research Abstract |
1.わが国の役員構成の定量的分析:東京証券取引所に対して、同取引所に上場する会社が2011年に提出したコーポレート・ガバナンス報告書から、わが国の主要企業(日経225に含まれる会社)における独立役員の任命状況についてのデータを収集し、分析を行った。その結果、取締役会の規模は米国の上場会社に近づいているものの、その構成員はなお内部者に偏っていること、及び株主構成と社外取締役・独立取締役の人数ないし割合の問には強い相関がみられることが明らかになった。他方で、監査役については、株主構成との相関は観察されなかった。このように、役員構成については株主構成との相関が重要であるという示唆が得られたことから、2000年以降にわが国に進出したアクティビスト・ヘッジ・ファンドについて、原因と影響を経済学的な分析を行った。 2.役員構成とコーポレート・ガバナンスの関係についての理論的な検討:コーポレート・ガバナンスについての国際的、学際的な趨勢の分析とともに、役員構成を通じたコーポレート・ガバナンスの改善という観点から特に注目される女性役員の登用に関して文献調査を進め、成果を公表しつつある。このような理論面からの検討を定量的なデータの分析に反映させるため、データ分析の枠組みを構築する作業も進め、暫定的な視点として、(1)誰の利益のためのモニタリングが行われなければならないか(株主のりうきを基準とするのか、他の利害関係者の利益をも考慮するか)、及び(2)どのような態様によるモニタリングが必要とされるか(個別的な行為の監視か、経営者の活動全般に対する監督か)、という二つの軸を析出した。 3.研究成果の公表方法:以上のような研究成果について、論文として公表するとともに、国際的な学会、シンポジウムにおいても口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に予定した内容のうち、社外役員に対するインタビューを除く部分はほぼ実行することができ、また後年度に予定していたジェンダーに着目した役員構成の多様化についての理論研究にも前倒しで着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更は予定していない。定量的な分析については、類似の研究が、経済学分野を中心として、他の研究グループによっても実行されつつあるので、法律学の研究者が多い当グループの特性を生かした進め方を検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費のうち、助成金部分について残額が生じているが、これは、データベースの購入を25年度以降に先送りしたためである。定量分析の方法を確定した上で、適切なデータベースを選択し、購入したい。
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