2013 Fiscal Year Annual Research Report
大震災・放射能被害復興の居住福祉法学と所有・責任・コミュニティの変容・再構築
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24330029
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 邦彦 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00143347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 和男 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (60116241)
淡路 剛久 立教大学, ---, 名誉教授 (90062653)
池田 恒男 龍谷大学, 法学部, 教授 (60092128)
松本 克美 立命館大学, 法務研究科, 教授 (40309084)
水野 紀子 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40114665)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 災害復興 / 居住福祉法学 / 所有 / 責任 / コミュニティ / ボランティア |
Research Abstract |
今年度は、諸外国の災害調査に主眼が当てられた。例えば、ハイチの震災調査(2013年9月)、インドネシアのバンダアチェの津波被害(2013年12月)、チェルノブイリの原発事故調査(2014年3月)などである。その結果言えるのは、原発被害に関しては、避難・移住措置に関する彼我の相違であり、また、津波被害に関する住宅補償ないし営業補償の希薄さである。後者に関しては、押し並べて開発途上国も同様と言えるが、国際的支援いかんでは、例えば、インドネシアでは、住宅の無償提供などとセットになり、高台移転などわが国よりもスムーズに進んでいるところもあり、巨額の復興予算の反面で、住宅問題のわが国での立ち遅れには、大きな課題を痛感した。 他方で、わが被災地の現地調査も続行しており、自主避難者への支援の立ち遅れ(例えば、北海道移住者の事情調査)の把握、除染の実態調査、被災地の不満調査など行っているが、弘前大学の学部を越えた長期的・総合的震災ボランティア活動報告(とくに岩手県の野田村との連携的支援)を聞く機会に恵まれ(2014年3月)、教育活動の一環としてこれほどまでになされた例は飴いないと思われ、大いに注目すべきものと思われた。 同時に福島問題に関しては、原子力損害賠償の原賠審の中間指針についての問題点の洗い出し作業の必要性を感じ、日本環境会議との連携で、総合的検討に着手した。 ただ被災者の不満の高まりの表れとしての、家族問題の調査(例えば、家庭内暴力、孤独死、PTSDの状況)及び提訴状況の調査などの課題処理の遅れは感じており、孤独死問題と民法問題との関係についての考察には着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外調査をそれなりに順調にこなしつつあるとは言えるし、国内研究も他の類似研究(例えば、福島原発の事故に関する損害賠償に関する諸研究会)と連携しつつ、本研究を深化・進捗する態勢はできた。今後ともその成果をあげるべく進行する方向性はつかめた。 また新たな絆・ネットワーク、その意味でのコミュニティづくりとしての地域的支援、とくに大学の教育活動の一環としての総合的取り組みとの提携が見えてきた。しかし他方で、被災地での家族状況の調査などは、困難も伴い、総合的把握は難しい状況である。鋭意その打開に努めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度末から新年度にかけて、チェルノブイリの原発事故調査、関連の機関・団体などでの包括的な聞き取り作業を行ったので、既に文献なども蓄積されている領域であるし、福島との比較を通じた課題析出作業に努めたい。さらに津波・水害関連の海外調査の深化、まとめの作業も行いたい。 他方で、国内調査として、原子力損害の実態把握、また原賠審の批判的検討の継続に尽力したいし、通常の不法行為の枠組みでは漏れてしまう災害救済の方途(津波による住宅、生業、コミュニティの全面的破壊に対する救済システムの構築)、そうした被災地における家族問題(家庭内暴力、家族の孤立化、児童の処遇など)の調査、強制避難、自主避難を含めてのネットワークづくりについての検討の継続に努めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた出張が若干遷延したため。 次年度すぐにやり残しの出張は取り行います。
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Research Products
(17 results)