2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24330038
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
御厨 貴 東京大学, 先端科学技術研究センター, 客員教授 (00092338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
翁 邦雄 京都大学, 国際公共政策研究科, 教授 (00185521)
牧原 出 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00238891)
伊藤 正次 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (40347258)
砂原 庸介 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40549680)
手塚 洋輔 京都女子大学, 現代社会学部, 准教授 (60376671)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本政治史 / 内閣 / 石油危機 / 自民党 |
Outline of Annual Research Achievements |
第3年度となる今年度は,本研究課題の核心をなす翁久次郎氏(元内閣官房副長官)の日記ノートを解読することに注力したと総括することができる。時期としては,前年度に完了した首席内閣参事官時代に引き続いて,福田内閣末期から大平内閣に交代してからの副長官時代をその対象とした。具体的な手法としては,研究代表者・研究分担者で時期を分担して,日記ノート内容を抽出するとともに,当時の情勢資料をあわせて解読作業を行い,さらにその成果を研究会で持ち寄って検討分析した。こうした取り組みにより,大きくは次の4点について新しい知見を得ることができた。
第1に,大平内閣期における内閣官房副長官の業務内容を解明することができた。とりわけ第2に,いわゆる40日抗争に直面するなど政治的危機にあった大平内閣において翁官房副長官が果たした役割について,自見党内対立への目配りをも含めて詳細に把握することができた。もっとも当該日記ノートは,副長官の日常をもつぶさに伝えている。この点第3に,定期的な会合を通じた首相官邸内における人的ネットワークの実態及びメディア関係者との接触についても明らかにした。加えて第4に,当時の政策課題であったインドシナ難民やイラン石油化学の処理といった外交案件のみならず,ダグラス・グラマン事件やいわゆる公費天国問題といった内政案件についての各種調整業務についても,閣議や閣僚協議会の運営を中心とした副長官の重要性を改めて認識するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,研究会を6回程度の開催し,副長官時代の解読を完了する予定であった。しかしながら,日記史料の解読を着実に進めるため関係資料の収集整理に努めるため,開催頻度を下げることとし遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
積み残し部分の解読を精力的に進めて石油危機後の内閣運営に関する全体像を提示する。
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Causes of Carryover |
石油危機前後の内政・外交研究が著しく進展していることから,それらの動向を十全に摂取する必要が生じたため,研究会の開催頻度を下げることで対応することとし,未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残りの日記史料の解読および全体の解析作業にかかる費用に充当する。
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