2014 Fiscal Year Annual Research Report
1997-98年経済危機以後の東アジア諸国ポリティカル・エコノミーの比較研究
Project/Area Number |
24330041
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
恒川 惠市 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (80134401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 充豊 天理大学, 国際学部, 教授 (00335415)
三宅 康之 関西学院大学, 国際学部, 教授 (50363908)
河野 元子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 研究助手 (80552017)
大西 裕 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90254375)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ポリティカル・エコノミー / 中所得国の罠 / 東アジア / タイ / マレーシア / 韓国 / 台湾 / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的に示したように、東アジア6カ国の比較研究を通して、経済的・政治的競争が激化する国内外の環境下で、社会勢力間の利害調整が著しく困難になっていることが、政治的不安定と経済成長率低下の背後にあることが明らかになった。韓国では社会保障改革によって貿易自由化への労働者・農民の抵抗は緩和されたが、格差拡大や労働市場の脆弱化に対する不満が政権の不安定化をもたらした。企業は中国との投資・貿易関係の強化を行ったが、本国でのイノベーションは鈍化している。やはり労働賃金が安い中国との関係強化に活路を見いだそうとした台湾でも、格差拡大・賃金低迷に加え、台湾人アイデンティティ問題が深刻化し、韓国に劣らぬ不安定化に直面した。中国では、政治の開放化が他国より遅れているとはいえ、指導部は都市・農村の格差や所得分配不平等への社会的な不満の高まりを意識しており、資本投入牽引型発展からイノベーション牽引型への転換や、社会的格差縮小による国内消費の拡充といった、他国と同様の政策課題を掲げるようになっている。マレーシアではかつてマレー系住民・企業優先政策が貧困の縮小や政治的安定の達成に役だった時期があったが、近年では、そうした政策がイノベーション牽引型発展への転換を難しくしたり、マレー系住民の間に格差をめぐる対立を生じさせたりしている。タイでは、タクシン派の政策によって動員力をつけた比較的低階層の人々と、それに反発するエリート層が対立、民主主義は崩壊し、経済も低迷している。こうした利害調整の困難に由来する不安定化という点では日本が先行例であった点も明らかになった。すなわち戦後、民主主義体制下の日本では、成長の利益を配分することで経済成長と政治的安定のバランスをとったが、経済的成功にともなう経済自由化と成長率の低下によって従来の利害調整を維持できなくなったことが90年代以降の不安定と停滞につながったのである。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Causes of Carryover |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)