2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24330042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
待鳥 聡史 京都大学, 公共政策連携研究部, 教授 (40283709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川人 貞史 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (10133688)
山田 真裕 関西学院大学, 法学部, 教授 (40260468)
建林 正彦 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30288790)
奈良岡 聰智 京都大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (90378505)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 議会研究 / 提案・討論機能 / 議場構造 / 議会事務局 / イギリス議会 / 国会 / 議院内閣制 / 二大政党制 |
Research Abstract |
本研究課題は、議会の基本的機能として挙げられる、提案・討論機能と決定機能のうち、従来必ずしも十分には検討されてこなかった提案・討論機能について、議会内部の補助的諸制度、権力の分立と集中のあり方、および選挙制度との関係から研究を加える。具体的には、議会内政党・会派、議院規則、議場構造などの議会内諸制度とそれを統括する議会事務局、および選挙制度の各要因が、議会の提案・討論機能をどのように規定するのか、というのが基本的な問いである。 初年度に当たる平成24年度においては、対象とする諸要因の中でも最も研究が手薄な議場構造について、ウェストミンスター型議院内閣制や二大政党制といった政治システムの主要な要素との結びつきが歴史的に存在してきた英国議会の調査を中心に研究を実施した。その結果、英国議会に特徴的な対面式議場(二大政党が与党と野党に分かれ、それぞれが本会議場の両側に議席を占めて対面する形式の議場)は、二大政党制の成立以前から2つの主要な政治勢力の対峙を前提にして形成されてきたこと、英国議会でも政党間協力を前提として調査を進めることを主任務とする一部の委員会では対面式ではなく円卓式の議場が採用されること、コモンウェルス諸国をはじめとして英国の影響を受けながら政治的伝統や政治制度が構築されてきた場合には、対面式議場が移入ないし継承されることもあるが、政治制度改革に伴って離脱する事例も多く見られることなど、従来の研究ではほとんど指摘されることのなかった多くの知見を得ることができた。 また、政党に関しては両院間関係、執政部門との関係、中央地方関係など議会にとっての環境要因がもたらす影響を分析する成果が得られ、議会事務局や議院規則については、日本の国会(衆議院)事務局在職経験者の日記を翻刻刊行することにより、国会における提案・討論機能の実態について解明を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題が対象とする議会内部の補助的諸制度については、事務局機能について憲法学などが一部研究を進めているが、従来日本ではほとんど分析が行われていなかったことから、分析の視角を定めることが容易ではなかった。このため、英国議会を具体的に対象とした調査研究を開始するまでに予想よりも時間がかかり、現地調査時期が今年度後半になったことによる。日本の国会や地方議会に関しては、資料収集などは1頂調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
英国議会の調査を通じて、議会内諸制度と議会の機能の関係を検討する際に、どのようなポイントから分析を進めれば良いのかなど、基本的な示唆を多く得られた。次年度は、それを活用する形で韓国国会(政治体制や制度が変わる際に意図的な選択が行われた可能性のある事例)についての調査に取り組むとともに、日本の国会や地方議会については引き続き成果やデータの公表を進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費次年度使用額として計上しているのは、英国議会調査との見合いで今年度には行えなかった韓国議会の調査を実施するための費用(旅費等)である。来年度は、大統領制/歴史的要因の影響の少ない議会としての韓国議会と、今年度調査を行った議院内閣制/歴史的要因の大きな議会としての英国議会の異同を明らかにするとともに、両者の中間的要素を強く持った日本の国会についての知見を統合しながら、比較分析の視座を確立することにしたい。
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Research Products
(9 results)