2012 Fiscal Year Annual Research Report
「再国民化」の比較政治学-ヨーロッパ・デモクラシーのジレンマ
Project/Area Number |
24330049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
石田 徹 龍谷大学, 政策学部, 教授 (50131313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 章生 札幌学院大学, 法学部, 教授 (60269719)
中谷 毅 愛知学院大学, 法学部, 教授 (80301638)
高橋 進 龍谷大学, 法学部, 教授 (30136577)
坪郷 實 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (20118061)
小堀 眞裕 立命館大学, 法学部, 教授 (70253937)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再国民化 / ポピュリズム / デモクラシー / 移民 / 欧州統合 / 福祉ショービニズム |
Research Abstract |
本研究は、現代ヨーロッパ政治の問題状況を「再国民化」の切り口から捉え返すこと目的としているが、初年度は各国における「再国民化」のあり様の分析とその比較研究に重点を置いた。その成果としては、まず第1に欧米においてこの間数多く刊行されている極右、テロ、ポピュリズム、移民など「再国民化」にかかわる論文、図書を多数収集できたことである。第2に、海外調査として石田がデンマーク、小堀がイギリス、高橋がイタリア、渡辺がスウェーデンをそれぞれ訪れ、政党関係者からの聞き取りや研究者との意見交換、データ・資料の収集を行うことにより、リーマン・ショック、欧州債務危機以降の新しい局面を含む、「再国民化」にかかる現地の実際の動向についての知識、情報を入手しえたことである。第3に、4回にわたって研究会を持ち、その中で研究の到達点の確認と研究方向の調整ができたことに加えて、外部から研究者(千葉大学水島治郎氏)を迎え、「再国民化」のテーマにとって重要であるが、本研究グループメンバーが事情に疎いオランダにおける移民をめぐる排除と包摂の実態について認識を深めえたことである。そして何よりもの成果としては、本研究グループメンバーが編著者となって『ポピュリズム時代のデモクラシー一ヨーロッパからの考察』(法律文化社、2013年3月)を上梓したことである。1980年代以降においてヨーロッパを中心に台頭してきている新右翼ポピュリズムが西欧デモクラシーに根底的な再考察を迫っているとの問題意識に基づいて、理論面と実証面から多角的に分析、整理と論点の抽出を試みたものである。本格的な西欧ポピュリズムの研究としては日本でも類書がないと自負しており、研究計画の遂行にとっても礎となったと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度において本研究グループのメンバーが編著者となった上記書物を刊行することにより、研究計画を成功裡に遂行する上で必要なしっかりした基礎的検討ができたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
「再国民化」の諸相の相互連関の分析と「再国民化」のEU政治へのインパクトの研究を、ヨーロッパ諸国で実施される国政選挙の観察などの現地調査も踏まえつつ、遂行する。併せて「再国民化」の概念整理も試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
助成金が次年度に繰り越されたのは、当初フランスの現地調査を予定していた研究分担者が学内事情で出張を次年度に延ばさざるをえなくなったこと、また研究代表者が行ったデンマークの現地調査の費用に関して、他の学外資金による研究と合算使用したため、当初の予定額を下回ったことが主な理由である。それらの分は次年度予定の海外調査に充てる予定である。
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Research Products
(23 results)