2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本の不況期において政府が労働市場において果たした役割の評価
Project/Area Number |
24330063
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
ESTEBANP Julen 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60376572)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 隆一 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (00397704)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 政府の政策 / 労働市場 / 一般均衡マクロモデル / 調査及び適合モデル |
Research Abstract |
当該年度の本事業は実証的段階がほぼ完了し、そのデータから1990年代の不況で最も大きな影響を受けた労働者の種類は若年層と高齢者層であることなど数々の興味深い結果を得た。またこの不況が就職と失業の蓋然性に影響し、特に後者により大きな影響を持つことがわかった。即ち、職を維持する蓋然性の低下であり、1990年代の失業率増加の大部分はそれに因るものである。 初期実証の結果を用いて、各世代の労働者の職業経験に対し技術的低迷が果たす役割を説明した論文を作成した。この論文は「Life-Cycle Search, Match Quality and Japan's Labor Market」という題名で、rJournaloftheJapaneseandInternationalEconomies」に掲載された。この論文で1990年代を通じた生産力の低下が、日本の全年齢層の失業率増加に大きな影響を与えたことがわかった。また、日本の人口動態の変化と人口の定常的な減少傾向について、このような人口減少が労働市場の労働者の流動率にさほど影響を持たないこともわかった。 また、本事業の第二段階で執筆予定の論文の準備として、また国際比較を可能にするためにも、メキシコ政府の諸政策の研究に取り組んだ。この論文で分析した政策の中には、本事業で日本向けに研究するものと同じ政策もある。 メキシコに関する論文「The Labor Market Effsects of Introducing Unemployment Benefits in an Economy with High Informality」は、GRIPSの政策研究センターのディスカッションペーパー12-20として発表した。この論文では、失業保険導入による失業中の労働者保護などの政府による政策は労働市場のダイナミクスと地下経済の労働者の就職に対するインセンティブを著しく変化させることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクトは予定通り進行中で、実証段階はほぼ完了し、すでに理論段階とシミュレーション段階に取りかかっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2013年度は、実証段階の最終部分の作業を継続し、論文を完成し、国内外の学会で発表し、出版用に提出する。また、すでに開始しているプロジェクトの理論段階も継続する。現在作業中の論文をまとめ、新しい論文に着手する。仕掛かり中及び新規の論文で、政府の様々な政策が果たす役割をテストするためのモデルを構築していく。この前段階での実証的分析が、今後の論文で扱うモデルに組み込むべき機能の種類および研究対象とする政策を決定するうえで必要不可欠なものとなる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の学会発表のための旅費、研究助手手当の支払い等により多くの予算を充てるために、残額が生じた。また、高性能なパソコンを用いてデータの徹底分析を行う際に必要な動作速度の速いパソコンの購入費用に充てるために、残額が生じた。
|