2014 Fiscal Year Annual Research Report
途上国の経済発展における社会ネットワークの役割-社会実験とミクロデータによる分析
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24330082
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
戸堂 康之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30336507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MATOUS PETR 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (70508192)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会ネットワーク / 経済発展 / 農業技術普及 / 産業集積 / エチオピア / インドネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、開発途上国の経済発展において社会ネットワークがどのような役割を果たすかについて、エチオピアとインドネシアの2か国を対象として分析するものである。2014年度には、2013年度までに収集した企業及び農村世帯のデータを利用して、次のような結果を得た。 (1)エチオピア農村において、携帯電話を配布するという社会実験によって社会ネットワークを外生的に変化させることで、社会ネットワークが農業技術の伝播に与える影響について分析した。その結果、農民同士の密接なつながりや、農業技術普及員とのつながりが重要であるが、普及員から知識を得た農民からさらに別の農民へと知識が伝播することはないことがわかった。この結果は国際学術誌および書籍の1章として発表された。 (2)エチオピアの地方都市の縫製業の集積において、集積地内のビジネスネットワークが零細企業の売上や技術の成長に与える影響を分析し、どちらにもプラスの効果があることを見出した。この成果は国内学会で発表し、今後国際学術誌に投稿予定である。 (3)インドネシア農村において、世帯同士の社会ネットワークによって新しい消費財の普及が促進されるかを分析した。その結果、商品によってネットワークの効果があるものとないものがあることがわかった。この結果は、途上国農村におけるBOPビジネスに対して示唆を与えるものであり、国際学術誌に掲載されただけではなく、インドネシアで企業や政府機関を対象に口頭で発表された。また、携帯電話の利用が必ずしも農民同士のコミュニケーションを促進しているわけではなく、農業技術伝播において顔の見える関係がいまだに重要であることもわかった。この成果は現在国際学術誌に投稿中である。 なお、2014年度にも同じ世帯に対してもう一度調査を行い、さらに長期間にわたるネットワークの変化とその影響について分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度の研究実施計画として、 (1)エチオピアの農村における農業技術の伝播、 (2)エチオピアの小規模地方都市における縫製産業の集積の発展、 (3)インドネシアの農村における農業技術の伝播 を挙げたが、上記の通りいずれの項目についても順調に成果が出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、上記の3項目について研究を進めて、できるだけ多くの成果を発表することに努めるとともに、新たにインドネシアの製造業、ベトナムの衣料産業における分析をも行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
インドネシアで行った農村世帯調査の準備がスムーズに進行したために、研究代表者が同行する必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果を発表するため、学会発表に伴う海外出張に利用する予定である。
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Research Products
(5 results)