2014 Fiscal Year Annual Research Report
伊藤忠兵衛家同族による事業経営の研究-総合商社伊藤忠商事・丸紅成立前史の分析-
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24330119
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
宇佐美 英機 滋賀大学, 経済学部, 教授 (60273398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 韻如 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (00389404)
弘中 史子 滋賀大学, 経済学部, 教授 (10293812)
柴田 淳郎 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (10437452)
伊藤 博之 滋賀大学, 経済学部, 教授 (20242969)
竹中 厚雄 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (30363899)
澤木 聖子 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40301824)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 伊藤忠兵衛家文書 / 丸紅株式会社史資料 / 伊藤忠商事史資料 / 伊藤忠兵衛家 / 伊藤農場 |
Outline of Annual Research Achievements |
原本による再校合作業に着手した「伊藤忠兵衛家文書」(仮目録で約51,000点)は、約10,000点の校合を終えた。また、丸紅株式会社史資料(約2,800点)および伊藤忠商事史資料(約580点)の細目録作成作業については、前者は70%、後者は80%程度の作業を終えた。次年度内に、両社の史資料については仮細目録を完成できる見通しである。「伊藤忠兵衛家文書」については、煩瑣な史料については校合を終えたので、次年度の作業においては進捗速度があがるものと予想している。詳細目録を完成させた時点で一般公開に供する話し合いを行う取り決めであるため、整理作業を最も優先して実施した。 伊藤忠兵衛家に関わっては、明治26年~昭和24年の期間の店法・定款・内規類の翻刻に着手し、ほぼその作成を終えた。これらは、次年度内に活字化すべく作業を進めた。今後の研究においても最も基礎的な史料だと考え、情報の提供と共有化をはかりたい。 伊藤長兵衛家に関わっては、明治40年~昭和20年まで韓国全羅北道で経営していた「伊藤農場」関係史料が末裔家で新たに発見されたことを受けて、同農場関係史料を所蔵する韓国全羅北道全州市の全州歴史博物館で調査を実施し、所蔵史料の全点を閲覧して仮史料目録を作成した。この仮目録を日本側の研究者に公開し、情報を提供したいとの申し入れを行ったが、まだ連絡はない。韓国に所蔵されている史料を用いた論文は1本あり、現地において執筆者から提供をうけた。これら韓国側の史料は、大阪の古書籍店から購入されたものだとのことで、新たに見つかった長兵衛家の史料と元々は一体化していたことが判明した。今後は、日韓の史料を用いることで新知見を得ることが期待できる。 上記の活動をもとに、滋賀大学経済学部附属史料館秋季企画展を市場史研究会とともに共催し、講演会と研究会を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
伊藤忠兵衛家文書、丸紅株式会社史資料、伊藤忠商事史資料は、細目録を完成させると6万点程になると予想できるまで整理作業を進めることができた。研究助成申請時には、史料点数の全容すら判明していなかったことや、両社の史資料の細目録完成を完成できる見通しがたったことから、上記のように評価する。 また、懸案であった韓国の「伊藤農場」関係史料の調査を実施でき、史料目録を作ることができたことは、予想以上の成果を挙げたと考えている。 さらに、これらの活動の一環として、滋賀大学経済学部附属史料館秋季企画展「伊藤忠兵衛家・長兵衛家同族事業経営の沿革」を市場史研究会と共催し、10月25・26日に講演会と研究会を開催するとともに、企画展図録の作製にも協力した。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に優先することは、伊藤忠兵衛家文書の原本校合の作業である。丸紅・伊藤忠商事株式会社史資料の整理に従事している人員も次年度中には忠兵衛家文書整理に振り替えることで、進捗速度があがると考えている。 これに併行して忠兵衛家同族事業経営の実態を共同研究してきたが、分担研究の主題解明に利用できる史料の出納が困難なこともあり、翻刻した史料を中心にして分担研究者が主題に関わらせて読み込むという方式に変更して研究会を開催することとする。 事業を行うにあたって海外に設けられていた支店所在地をすべて調査することは、時間的にも物理的にも不可能であるため、これまで調査を行った地(アメリカ、イギリス、韓国)に限って、調査後に得た情報をもとに再調査することにとどめることにする。 これまでの成果は、各自が論文や研究ノートにまとめておき、史資料の整理が済み次第に更なる分析を進め、できうる限り早い時期に最初の研究論文集を刊行する予定である。
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Causes of Carryover |
年度当初に担研究者による中国所在支店の調査を予定していたが、先方地の都合の良い時期と調査担当者の校務スケジュールとを調整できず渡航を見合わせたため、その経費が残されることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、これらの助成金を用いて平成25年度の調査後に新しく資料が見つかったと連絡をうけた英国のBradford College Textile Archiveを中心とした再調査の旅費に充当させる予定である。
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Research Products
(5 results)