2016 Fiscal Year Annual Research Report
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24330123
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
須田 敏子 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (70387992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 麻理 同志社大学, 研究開発推進機構, 研究員 (20755433)
森田 充 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 准教授 (30453492)
八代 充史 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (40286620)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人事制度 / 集権的人事管理 / 制度環境 / 競争環境 / 制度補完性 / 国際比較 / 日本型人事 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度における研究概要について(1)情報収集・(2)研究成果発表の2側面にわけて記載する。 (1)情報収集:人事制度面における日本型人事の特色である人基準・年功主義と、人事管理の意思決定面における日本型人事の特色である人事部主導の集権的人事管理、という2つの特色間の補完性分析を目的に、人事部門の機能と組織に関するアンケート調査を実施した。引き続き、アンケート結果の第一次集計(記述統計)を行い、アンケート回答企業の中のフィードバック希望企業に対して、集計結果のフィードバックレポートを送付。加えて、第一段階の統計分析(推測統計)に着手した。 (2)研究成果発表:2016年度中の研究成果発表のうち、主要3成果について担当者と発表内容を記載する。 ①研究代表者・須田敏子:日本の製薬産業・電機産業の2産業間における人事制度比較"Comparison of Human Resource Management between the Pharmaceutical and Electrical Industries in Japan"を『World Journal of Management』誌に掲載。 ②分担研究者・八代充史:日本の金融産業(東京の本社・ロンドンの海外現地法人)と自動車産業の人事制度を分析した著書『日本的雇用制度はどこに向かうのか:金融・自動車業界の資本国籍を超えた人材獲得競争』を出版。 ③研究分担者・山内麻理:日本の金融産業における人事制度変化に関する分析"Employment Systems in Japan's Financial Industry: Globalilzation, Growing Divergent and Institutional Change"を『British Journal of Industrial Relaitons』誌に掲載。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本科研費取得研究「複数レベルの組織フィールドからの人事制度分析」は2012年度~2016年度の5年間にわたる研究である。研究内容は当初の研究計画の枠を超えて、大きな発展を見せてきた。つまり、研究計画当初の段階では、定性ケーススタディによって収集した情報に基づき日本における産業間の人事制度変化の比較が主な研究内容であった。そして、ケーススタディ対象は各産業における主要プレイヤーである大企業に限定し、主要プレイヤーで発生する人事制度変化を各種国際経営比較理論・制度理論などに基づく分析をとおして、人事制度を例にとり、社会に定着した制度変化の複雑なメカニズムを分析することが研究目的であった。 社会に定着した制度変化の分析という研究目的に変化はないものの、より多角的・包括的な分析を目指して、研究方法論・研究対象の2つの面で、本研究は拡大・発展してきた。研究方法論・研究対象の2領域における発展・拡大の内容は以下のとおり。 (1)研究方法論:定性研究に加えて定量研究も加え、定性・定量研究の両面から分析を行った。主な定量研究の内容は、①成果主義人事を促進する組織内外の環境を明らかにするべく「成果主義人事アンケート」調査を分析、②人事制度に大きな影響を与える従業員心理の分析を目的に、日独露3国のビジネススクール学生を対象に「モチベーション・キャリア志向に関するアンケート」調査を実施し、国レベルの環境が従業員心理に与える影響を分析、③「人事部門の組織と機能に関するアンケート」調査を実施し、人事制度・意思決定という2面からの日本型人事の変化を分析。 (2)研究領域面:①日本の大企業を対象とたアンケートの実施・分析を通じて、当初の産業間の枠を超えて日本の大企業の全体傾向を対象に人事制度研究を実施、②日独露3国を対象とした調査を行い、日本という国の枠を超えた国際比較分野にも研究対象に拡大。
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Strategy for Future Research Activity |
本科研費取得研究「複数レベルの組織フィールドからの人事制度分析」(2012年度~2016年度)は2016年度で研究期間を修了したが、本実績報告書策定時点で「定量調査・定性調査の両面からの日本型人事制度変化のメカニズム分析」によって新たに5年間(2017年度~2021年度)にわたる科研費取得の内定を受けている。新たに内定した科研費取得研究の内容は、これまでの研究の継続・発展研究であり、様々な面で2012年度~2016年度科研費取得研究を拡大・推進していくことを計画している。主な内容は以下のとおり。 (1)日本という国レベルを対象とした人事制度変化に関する研究:①2016年度実施「人事部門の組織と機能に関するアンケート」調査の分析を進め、日本型人事におけるイノベーター企業の特色、変化の途中でスタックしている企業における変化の阻害要因など制度変化に関連する様々な要因を解明、②資本国籍が人事に与える影響の解明を目的に、日本で活動する日系・外資系企業間における人事制度比較を目的とするアンケート調査の実施、③人事部・主要事業部門のトップ・従業員という人事を取り巻く3タイプの主要ステークホルダーを調査対象として実施した「成果主義人事アンケート」調査のさらなる分析の発展・深化、など。 (2)日本型人事の変化に関する産業間の比較研究:これまで製薬・金融・自動車・電機の4産業を対象に調査しており、2016年度には海外ジャーナル掲載、書籍出版などの研究成果を達成したが、今後も調査・分析を引き続き実施する。さらに上記4産業以外にも調査対象産業を拡大していく予定。現在、計画している産業としては、①すでに電機産業の一領域として調査を進めてきたIT産業を対象に、より特化した調査の実施、②製販両者の機能を有するファッション業態の拡大など大きな変化をみせる流通産業、などがある。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究目的をより精緻に達成することになる。具体的な内容としては、①人事制度の主要ステークホルダーである従業員の意識を国際比較の観点からの分析を目的に、日独露3国のビジネススクール学生を対象に実施した「モチベーションとキャリア志向に関するアンケート」調査、②日本型人事の人事制度面での特色である人基準・年功制と、意思決定面での特色である人事部主体の集権的人事管理という2つの特色の補完性分析を目的に実施した「人事部門の組織と機能に関するアンケート」調査という2つのアンケート調査に関するさらなる分析と、成果発表の準備である。成果発表としては、①に関してはすでに国内外の学会で数回発表を行っており、2017年度は海外学会・海外学術誌を中心に発表・投稿を行う計画、②に関しては2017年度からの学会発表開始を計画、以上の2項目に関わる費用に使用の予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
以上のように次年度使用額が生じた項目は、2つのアンケート調査に関するさらなる分析と成果発表の準備であり、これに関連した項目で使用する計画である。具体的には、①アンケート分析と発表資料作成などの補助作業を目的とした研究助手の雇用と、②研究成果発表に不可欠な理論面での精緻化を目指しての書籍・資料の購入である。このうち①の研究助手の雇用に関しては、本科研費実績報告書作成段階ですでに雇用を開始している(雇用対象期間2017年度上半期)。雇用下研究補助は、Excellでの表計算・パワーポイント資料作成などに関する知識・スキルを有した博士課程学生である。もう一方の②に関しては、必要に応じて書類・資料を購入していく計画で、具体的には、制度組織論、日本における制度環境変化、パフォーマンス・マネジメントなどに関する英文文献などの購入を予定している。
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Research Products
(9 results)