2013 Fiscal Year Annual Research Report
危機対応の企業財務戦略-サーベイ調査を中心とした実証的分析-
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24330124
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
花枝 英樹 中央大学, 総合政策学部, 教授 (50103693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芹田 敏夫 青山学院大学, 経済学部, 教授 (80226688)
胥 鵬 法政大学, 付置研究所, 教授 (60247111)
佐々木 隆文 東京理科大学, 経営学部, 准教授 (10453078)
鈴木 健嗣 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (00408692)
佐々木 寿記 名古屋商科大学, 商学部, 講師 (10609738)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 企業の流動性管理 / 現金保有 / サーベイ調査 / 予備的動機 / コミットメントライン / 当座貸越 / 余剰資金 / リスク管理 |
Research Abstract |
本研究の目的は、世界的金融危機や東日本大震災などに見られるように、さまざまなリスクに晒されている企業が、それらのリスクや危機にどのように対処しているのかを、コーポレートファイナンスの観点から明らかにすることである。特に、平成25年度は、『資金調達・現金保有に関する企業の意識調査』という題目で、全上場企業に対してアンケート調査を行った。310社から回答を得たが、そのデータと公表財務データをもとに、分析を行い、「日本企業の現金保有と流動性管理-サーベイ調査による分析-」というワーキングペーパーを完成させた。 主な分析結果として、以下のことが明らかになった。(1)日本企業においても米国企業と同様、予備的動機が現金保有の最も重要な動機となっていること、(2)日本企業における現金保有では、消極的な予備的動機(将来のキャッシュフロー不足への備え)のみでなく、積極的な予備的動機(将来、予想外の投資機会が生じた場合への備え)も同じぐらい重要な動機となっていること、(3)当座貸越の利用やメインバンクへの信頼感がコミットメントライン未設定の要因になっていること、(4)余剰資金保有の背景に直接金融へのアクセスが限定されているとの認識があること、(5)既にメインバンクに強く依存するほどむしろ強い資金制約に直面していること、(6)内部ガバナンスのあり方が現金保有動機、現金保有と流動性管理のあり方に影響を及ぼすなどの知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート調査に対する回答企業数も概ね予想していた数を確保でき、回答データに基づいた分析においても、企業の意識や考え方について有益な結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は本研究の最終年度であるので、今まで行ったサーベイ調査に基づく2つのワーキングペーパーをもとに、学会発表、セミナーでの発表を行い、有益なコメントをもらって、ペーパーを加筆修正し、論文の完成度を高め、最終的に専門雑誌に投稿することを計画している。さらに、本研究プロジェクトのテーマに即した別途の研究論文を完成させることも計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費、人件費・謝金に関して、当初見積もった計画を下回った支出がなされたために、次年度使用額がプラスで生じた。 次年度は最終年度なので、海外学会発表及び、研究発表会等を計画しており、旅費、及び人件費・謝金とも計画通り消化できるものと考える。
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Research Products
(9 results)