2014 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト・コーポレーションとイスラーム的企業:企業の多元的展開の方向性に関する研究
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24330125
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
櫻井 秀子 中央大学, 総合政策学部, 教授 (60203345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹沢 安治 中央大学, 戦略経営研究科, 教授 (00146953)
中屋 信彦 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20325559)
木村 有里 杏林大学, 総合政策学部, 准教授 (40381652)
潜道 文子 拓殖大学, 商学部, 教授 (60277754)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イスラーム / ワクフ / コーポレーション / 社会的企業 / 経営倫理 / イラン / 中国 / タイ |
Outline of Annual Research Achievements |
現在のグローバル経営環境においては、経営的効率から登場した近代組織のコーポレーションが台頭し権力化する中、経済格差のみならず、教育、医療、治安・平和の領域にも多大な格差を生じさせるに至っている。コーポレーションはイスラーム経営にはない組織体であるが、その理由を積極的観点から考察するために、引き続き、コーポレーションのもつ問題性を、組織の巨大化による人間の非人間化、組織の人間化の両側面から考察するとともに、イスラームにおけるコーポレーションの不在をイスラーム法、シャリーアにおけるワクフの位置づけとの関連にて考察した。具体的事例研究においては、イスラーム圏に特徴的な中小規模の企業組織、社会的企業性の研究・調査を行った。ポスト・コーポレーションのビジネスに求められる特性について考察するにあたり、近代化に取り込まれなかった非近代的特性をイスラーム的経営と日本の伝統的経営よりそれぞれ抽出し、それらが有する社会的合理性について検討した。 具体的には、ワクフと会社システムについての文献研究、日本における江戸期のCSRに関する文献研究、ワクフ経営の調査(マレーシア)、ハラール・ビジネス調査(マレーシア工業団地)、企業のCSR経営とソーシャル・エンタープライズに関する調査(オーストラリア)、仏教的な経営実践(タイ、ベトナム)を行った。また次年度の研究発表(日本比較経営学会、ヨーロッパ経営学会)に向けて、研究会ならびに論文執筆を行った。さらに「ポスト・コーポレーション社会研究」の研究会を、ビジネスマンの参加を得て、文献講読、討議を中心に、毎月開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イスラーム文化圏と仏教文化圏における企業の行動様式、イスラーム的企業と日本の長寿企業との比較検討を可能とする段階まで、個別研究を進めることができた。またポスト・コーポレーション社会研究も順調に進んでいる。いずれについても、これまでの成果を来年度の学会報告、ならびに出版において発表するために準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においては、これまでの成果の学会発表を行う予定である。出版についても計画されている。また次の研究プロジェクトにつなげるために、本研究の研究成果を発展的にまとめていく。
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Causes of Carryover |
当初、2014年に開催のIFSAM(国際経営学会連合)において成果報告を行う予定にしていたが、研究成果と報告セッションとの間に若干の不適合があり報告を見送り、2015年度のEURAM(ヨーロッパ経営学会)、および日本比較経営学会にて報告することとしたことが次年度使用額の生じた主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
EURAM、日本比較経営学会における報告にかかわる諸経費、成果報告の英訳における専門知識の提供と翻訳料、研究会開催費、ワクフ関連の文献収集調査、ならびに現地調査、その際に必要とされる消耗品等を主な用途とする。
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Research Products
(9 results)