2013 Fiscal Year Annual Research Report
災害復興時の財務と非財務情報の役割―阪神と東日本の大震災の経験的研究
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24330142
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三矢 裕 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (00296419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國部 克彦 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (70225407)
松尾 貴巳 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80316017)
大浦 啓輔 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (20452485)
佐々木 郁子 東北学院大学, 経営学部, 教授 (90306051)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 震災復興 / 財務情報 / 非財務情報 / マネジメント / ガバナンス / 補助金 / 予算 / 設備投資・中期計画 |
Research Abstract |
研究の目的は以下の通りである。 <全体構想> 営利および非営利組織の災害復興に際し、財務・非財務情報がどのようにポジティブ/ネガティブな役割を果たすかを経験的に解明し、将来の災害復興への指針を示すこと。 <目標1> 阪神と東日本の両大震災に関して、財務情報(被害額や必要投資額決定等)と非財務情報(安全、品質、顧客、環境対策等)が、組織のマネジメント(意思決定や業績管理)とガバナンス(情報開示やコンセンサス形成)の両面で果たした役割の解明。<目標2> 阪神被災企業は、前大震災の教訓を、東日本大震災においてどのように活かしたか、それとも活かさなかったのかについて、促進と阻害の要因の解明。<目標3> 被災経験を基に、将来の震災復興のためのマネジメント/ガバナンスへの指針策定。当該年度の研究実施計画は、①大規模質問票調査、②海外研究者からのヒアリング、③東日本大震災被災組織へのヒアリング、④阪神大震災被災組織へのヒアリング、⑤研究成果の発信、⑥提言策定の6つで構成される。 研究実績は、①については、営利組織向けの大規模質問票調査を実施した。非営利組織向けは未実施である。②については、英国よりAnnika Beelits(Bangor Business School)氏を招聘し、ヒアリングを実施した。③については大興水産訪問はじめ全メンバーで頻繁に実施した。④についてはオムロン訪問はじめ全メンバーで複数回実施した。⑤については、学会発表としてAsia Pacific Interdisciplinary Perspective in Accountingや日本会計研究学会はじめ国内外の発表を行った。論文は、『産業経理』および『国民経済雑誌(近刊)』などを発表した。提言としては、研究代表者が朝日新聞からの取材を受けた。また、神戸大学社会科学系研究府主催のシンポジウムで政策提言を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも書いたが、ほぼすべて当該年度の実施計画を達成した。 最難関と思われたデータ収集が順調に進んだ。 特に、営利組織向けの質問票調査は一年前倒しで、統計的な分析までほぼ終了している。 なお、非営利組織用の質問票調査については、営利組織用の結果との比較可能性を確保するために、営利組織用の質問票調査の結果をこれから発信し、それに対するレスポンスを確認してから実施する方が有益と判断した。そのため、あえてH25に発送することは控えたことを付け加えておきたい。 現時点までの感触ではあるが、得られた知見を世の中に対して発信したことに対して、予想以上の手応えである。 進捗状況のみならず、研究の質に対しても計画以上と言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は、精力的に成果の発信をする必要がある。 既に、原価計算研究学会では、震災マネジメントが統一論題として取り上げられることが決まっている。これは管理会計の領域では世界で初めてである。 また、現代経営学研究所のシンポジウムでも、震災マネジメントが主題となることが内定している。 研究成果とともに、政策提言も行っていきたい。アクションリサーチは本年度の重要な計画の一つである。今年度中に、営利あるいは非営利にて実施したいと考えているが、今のところまだ対象サイトの確定に目処が立っていない。 上記のとおり、非営利組織用の質問票調査については、営利組織用の結果との比較可能性を確保するために、営利組織用の質問票調査の結果をこれから発信し、それに対するレスポンスを確認してから実施する方が有益と判断した。よって、H25の実施を延期した。これをできればH26に行いたい。ただし、営利組織に比べて、非営利組織は対応が遅いので、H26の実施は時期尚早かもしれない。震災から丸五年が経過したくらいの方が良い回答が得られる可能性もある。この点については、引き続き、メンバーや関係者と話をしながら適切な時期を探っていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
営利組織向けの質問票調査については他の研究ファンドを得ることができたので一部についてはそちらを利用した。非営利組織向けの質問票調査についてはH25は実施しなかった。 さきにも書いたとおりだが、非営利組織向けの質問票調査については、H26に実施するかは目下検討中である。
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Research Products
(4 results)