2013 Fiscal Year Annual Research Report
東日本大震災の被災地におけるインクルージブな地域再生過程についての実証的研究
Project/Area Number |
24330176
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
宮城 孝 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (70276864)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和気 康太 明治学院大学, 社会学部, 教授 (50257060)
都築 光一 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (40347844)
仁平 典宏 法政大学, 社会学部, 准教授 (40422357)
大島 隆代 法政大学, 大原社会問題研究所, 客員研究員 (70523132)
仁科 伸子 東京福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (30707683)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 地域福祉 / コミュニティソーシャルワーク / 災害弱者 / ソーシャル・インクルージョン / 地域再生 |
Research Abstract |
本研究の第二年度にあたる平成25年度は、震災発生から約2年を経た被災地において、仮設住宅における被災住民の置かれた状況、また独居高齢者など社会的に弱い立場の人々の状況について把握し、分析するために、主たるフィールドである陸前高田市においては、応急仮設住宅団地の自治会長等にインタビュー調査を行うとともに、仮設住宅居住者に今後の住まいと暮らしの意向に関するアンケート調査、また他の地域も含めて社会福祉関連機関等へのインタビュー調査などを行った。 仮設住宅自治会長へのインタビューは、49ヶ所、仮設住宅居住者へのアンケート調査は、配布数2020枚に対して、有効回答数899(有効回答率45%)であった。 その結果、被災状況の違いや復興が目に見えてきた地域による差が見られた一方、仮設住宅の暮らしの長期化によって被災者のストレスが増している状況が明らかになった。また特に、高齢者など情報弱者に各種の復興施策の情報が届いていない状況や、自治会長に過剰な負担が生じ、健康を害する人も生じており、仮設住宅での暮らしが長期化する中で、仮設住宅団地のコミュニティを維持するための支援のあり方が問われることが明らかになった。地域の被災状況の大きさなどの違いによる復興事業の実施のスピードの違い、被災者間の経済的格差や地域間格差が生じており、今後、仮設住宅の暮らしが長期化することにより、さらにストレスや深刻な問題を生じることが懸念される。 これらの状況を把握し分析した結果を、分担研究者と関連学会における研究報告を行うとともに学術雑誌や図書に掲載している。さらに、これらの調査結果をもとに陸前高田市の状況と今後の支援のあり方について提言としてまとめ、市の関連部署や市議会、仮設住宅自治会長等に送付し、研究結果のフィードバックを図った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に引き続き、フィールドとしている陸前高田市の仮設住宅自治会長にインタビュー調査、また初めて仮設住宅居住者へのアンケート調査を実施でき、特に後者は、地元関係者の協力を得て、45%の有効回答率を得ることができ、分析を行い報告書を作成、公表することができた。これらの内容は、地元紙でも広く報道され、一定の社会的インパクトを与えることに寄与できた。 その一方、計画では、高齢者や障害者への個別インタビューを実施し分析する予定であったが、アンケート調査実施の準備作業と分析で時間的、労力的に余裕がなく、平成26年度にあらためて、対象地域を限定して実施する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度が本研究の最終年度であり、また被災地では仮設住宅から住宅再建による移転の準備期に入る。地域の復興事業も加速される時期に入る。このようなステージを背景に、本年も陸前高田市の仮設住宅自治会長にインタビュー調査を実施するとともに、新たに対象地域を設定して高齢者や障害者への個別インタビュー調査を実施する予定である。 また、他の被災地の福祉関係者等へのインタビュー調査などを実施し、これまでの調査等の分析を踏まえつつ、東日本大震災の被災地において高齢者や障害者など社会的に弱い立場の人々に対するインクルージブな地域再生の過程、また被災住民のエンパワメント形成による地域再生の可能性と課題について、実証的な分析を行いまとめることとする。
|
Research Products
(18 results)