2013 Fiscal Year Annual Research Report
介護施設におけるケアの質の向上のためのコミュニケーション・オーディット研究
Project/Area Number |
24330177
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
山口 生史 明治大学, 明治大学・情報コミュニケーション学部, 教授 (50257127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 和女 ルーテル学院大学, 総合人間学部, 教授 (20257083)
清宮 徹 西南学院大学, 文学部, 教授 (00360298)
山口 麻衣 ルーテル学院大学, 総合人間学部, 准教授 (30425342)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 福祉マネジメント / ケアの質 / 組織コミュニケーション / 組織行動 |
Research Abstract |
平成25年度は、予定していた量的調査を次年度(本年度)の実施に変更し、質的データ分析とそれに基づく質問票の作成に多くの労力をかけた。 1. 4月~6月に、前年度に行ったインタビュー調査のデータ分析を行い、報告書に纏め、6月と7月に協力9施設(1施設は郵送)にて説明した。施設内コミュニケーションの問題点の明確化と新たな発見を伴う重要な知見を得た。さらに、平成26年2月と3月に、平成26年度実施予定の量的調査協力依頼を開始し、新たに協力をいただける2施設を含め8施設から協力を得る予定となったことは大きな実績である。 2.前年度行ったインタビュー調査の結果を多く反映している質問票の作成を8月より開始した。他国で開発された組織行動・態度に関する質問票も利用するため、各開発者から利用許可を得て、英語が堪能あるいはバイリンガルの研究者(院生含む4人)とともに数カ月かけてバックトランスレーションを行った。3月には、5名の介護職員参加のフォーカスグループインタビュー調査、介護職員8名への郵送によるプリテストを行い、質問票をほぼ完成させた。これらの調査により量的調査の準備がほぼ整った。 3.平成25年8月25日、ルーテル学院大学大学院付属包括的臨床死生学研究所より協力を得て、研究フォーラム「実践と研究を繋ぐ効果的な研究デザインとは?-福祉・心理領域における組織コミュニケーション研究からの示唆」を開催した。研究代表者・分担者が講演者と討論者としてそれぞれ登壇した。その時点までの研究成果を振り返る貴重なフォーラムであった。なお、研究代表者が、1年目の調査データを分析して国際学会で発表した論文が、その国際学会と連携のある日本の研究学会のジャーナルに、論文として掲載された(後段の研究発表欄に提示;なお、Best Paper Award 受賞論文は掲載されることになっていたので査読なし) 4.研究会を4回開催した(1回は一部のメンバーで開催)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトは、おおむね順調に進展しているが、下記の理由で意図的に調査実施を遅らせたため、繰り越した助成金は、本年度に集中することとなった。平成25年度に、プリテスト、パイロットテスト、本調査[第1回パネル量的調査]まで行う予定であったが、研究会において、実践家の協力者(介護施設に従事するメンバー)から、多くの施設で、一定規模の人事異動が4月に行われるため、年度末に行う予定の調査は回避した方が良いと言う意見が出た。それは、本調査が2時点のパネル調査であるため、人事異動が途中で行われると、2回目の調査に支障が出るためである。質問項目には、上司部下間、同僚間のコミュニケーションやチームコミュニケーション項目が多く含まれているため、研究会で議論をした結果、大幅な人事異動をまたいでの2時点の調査を避けた方が賢明であるという結論に至った。そのため、本調査第1回目の開始を、新たな年度になり、人事異動が落ち着く6月下旬くらいに実施することにした。したがって、予定した量的調査のうち、プリテストのみ3月に行った。プリテストに関しては、実際の調査対象者が含まれておらず、また、実際に回答してもらい、質問項目に関してコメントをしてもらうことを目的としており、その時点の状況に関して答えてもらうことで問題ないので、年度内に行ったのである。このような事情もあり、拙速に質問票を作ることをせず、十分な時間を質問票の作成に費やした。以上の理由から、結果として、質問票の最終修正のためのパイロットテスト、第1回パネル本調査を平成26年度開始に変更したが、同じ理由で、2回目のパネル調査も平成26年度内に行うことにした。第2回パネル調査も1年の経過を見る予定であったが、上記の意見により、同じ年度内に行うことになり、5年間の本プロジェクトでは、3年目の平成26年度に集中して量的調査が行われるにことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に予定されていたパイロット調査は、4月の初めに開始された。質問票を既に郵送し、現在、データの回収中である。パイロット調査は、全国の介護施設を管理している某協会より協力を得て、約120施設が対象となった。各施設に質問票3部(1部施設長用、2部職員用)を発送した。そのデータを分析し、その結果に基づいて6月中に行う予定の第1回パネル調査の質問票を完成する予定である。 本年度行う2時点でのパネル調査に関しては、1度目の回答者と2度目の回答者が同一である必要があるので、施設と回答者に対して十分な説明が必要である。本研究代表者は、所属大学の倫理審査委員会から承認を得ており、いずれの方法にしても、各回答者には、返信用封筒が渡され、個人のデータが調査者関係者以外の目に触れることはないと説明してきた。現在のところ8施設が、いずれかの方法で、協力の意向を示してくれている。今後、調査開始前に、さらに説明をして、スムースに調査を進める予定である。 1回目のデータ収集の後、できるだけ早くデータ分析をして、各協力施設に結果を報告することで、第2回目の調査にも引き続き興味と関心を持ってもらい、必要な調査として認識してもらえるようにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2時点のパネルリサーチを行うため、人事異動の時期(新年度4月に多いという)の理由から、平成25年度終盤に実施予定であったパイロット調査と第1回パネル調査を次年度(平成26年度)開始としたため、平成25年度執行予定であった調査実施のための経費が、平成26年度に使用されることになった。 それぞれ異なる年度(平成25年度と平成26年度)に行われる予定であった3回の量的調査(パイロット調査、第1回パネル調査、第2回パネル調査)にかかる経費(調査協力謝金、郵便代金、封筒・質問票等印刷業務委託、発送業務委託、データ入力業務委託など)が、本年度に集中して使用される予定である。
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