2012 Fiscal Year Annual Research Report
「過労死」発生の心理社会的メカニズムの解明と防止策の構築:社会文化比較の視点から
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24330188
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金井 篤子 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 教授 (80262822)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 過労死 / 職場のメンタルヘルス / 長時間労働 / 国際情報交換 / 韓国:中国:ドイツ:フィンランド:米国 |
Research Abstract |
日本に固有の問題とされる「過労死」については、近年職場のメンタルヘルス上の問題としてますます注目されており、医学的、心理学的検討が進められているところだが、現在のところ、なぜ過労死するほどに働くのかという問題については、日本人の国民性などが指摘されるものの、実証的にはほとんど検討が進んでいない。このため、行政を中心にさまざまな施策が進められているものの、抜本的な過労死防止策がとれていないのが現状である。本研究は、「過労死」について、特に長時間労働の発生メカニズムに着目し、諸外国(フィンランド、ドイツ、米国、中国、韓国)と日本の比較検討から、働く文化の4層10次元モデルを構築し、社会文化的視点から長時間労働さらには過労死発生の心理社会的メカニズムを実証的に明らかにし、有効な長時間労働抑止、過労死防止策を提案することを目的とするものである。 本年度は初年度にあたり、予備的調査研究を行った。具体的には、1連携研究者(5名、米国研究者含む)との相互意見交換により、モデルに基づき質問紙を作成した。2日本、ドイツにおいて、作成した質問紙の妥当性を検討するため、予備調査を行った。3フィンランド、ドイツを訪問し、各国の働き方の様相を探るため、各国の労働者を対象として予備面接を行った。4フィンランド、韓国を訪問し、各国の研究者と意見交換を行った。 本年度の成果としては、労働者の面接調査および研究者との意見交換により、1過労死について、日本だけでなく、韓国でも急激に社会問題化していること、2労働時間の管理に関して、フィンランド、ドイツは明確に管理がされており、日本、韓国における管理の在り方とは異なること、3フィンランドとドイツはそれぞれユニークな労働時間管理のシステムを持っていることなどが明らかとなった。また、4日本とドイツにおける質問紙調査結果を比較検討した結果、両国間に文化的差異が見いだされ、作成した質問紙が文化的差異を測定するための一定の妥当性を持つことが明らかとなった。5日本の質問紙調査の分析結果から、働く文化の4層10次元モデルの一定の有効性が示された、などがあげられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、日本:韓国:中国:ドイツ:フィンランド:米国の6か国で予備調査を実施する予定だったが、研究協力が得られないなどの理由により、中国のみ実施できなかった。しかし、そのほかの5か国においては予備的調査を実施することができた。また、予備的調査の結果を受けて、インターネット調査の準備を行い、25年度頭には6か国調査を実施する運びであることから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度にはインターネット調査による6か国比較調査を行い、分析を行う予定である。また、分析結果から有効な過労死防止策について検討を行う。また、比較調査の結果を学会等で発表する準備を行う。現在のところ、懸案事項はない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、それぞれ各国の研究協力者を通じてアンケート調査を実施する予定であったが、各国の研究事情が異なることが判明したため、調査会社による条件を統制したインターネット調査を行うこととした。外部委託の予算が大きくなったため、24年度内には実施がかなわず、アンケート調査分を繰り越し、25年度に実施することとした。
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