2013 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの感情制御の生理的文化的基盤ーフィードバックへの脳神経反応の文化比較ー
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24330195
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
平林 秀美 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (90261718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐澤 真弓 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (60255940)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 感情制御 / 心の理論 / 脳波 / 実行機能 / 文化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、子どもの感情制御の可塑性を文化比較と脳神経反応という複層的視点によって分析することである。1)幼児期から児童期にかけての実行機能と心の理論の発達が、感情に関わる脳波の活動とどのように関連するのかを分析し、2)感情に関わる脳波の文化差を、日本・アメリカでの同一手続きによる実験を実施して検討し、3)感情の制御についての文化的スクリプトと感情に関わる脳波との関連の検討を行う。 本年度は、日米で綿密に研究打ち合わせを行った上で、「研究1:子どもの感情制御システム課題と脳波測定課題」の予備実験を行った。感情制御に関連する心の理論課題(Bowman, Liu, Meltzoff, & Wellman, 2012)の日本版を作成して予備実験を実施し、日本の幼児(17名)の行動指標および脳波を測定した。心の理論課題の正答率を比較したところ、「統制課題(物の分類)」が最も高く、次いで「欲求の異なる課題」が高く、「信念の異なる課題」が低かった。アメリカの幼児のデータと比べて、同等あるいはやや高い正当率であった。本研究で用いた課題は、従来の心の理論課題(Wellman & Liu,2006)とは自己と他者との関係性が異なり、それが正答率の変化に関連している可能性がある。実験の問題点として、幼児の脳波測定では波形がきれいなものをとるのが難しいので工夫が必要なこと、課題実施に時間がかかるため子どもの集中力を維持させる必要があることが挙げられる。 なお、感情制御課題(DeCicco, Solomon, & Dennis, 2012))の改訂版及び日本版については引き続き作成中であり、海外の研究協力者との打ち合わせを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験に用いる課題の再検討及び実験準備(日本語のプログラムの開発等)に時間を要したために、予定よりも少し遅れている。心の理論課題実施時の脳波を測定することについては今年度予備実験を終えており、次年度本実験を行う予定である。感情制御課題の開発は、Dennisとの打ち合わせが引き続き進行しており、目標を達成するために特に問題はないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
脳波測定の専門家からアドバイスを受け、実験者及び実験補助者の脳波測定法のトレーニングをさらに行い、次年度は子どもを対象に本実験を実施する。今年度の予備実験では5歳から6歳の子どもを対象に実施したが、正確な脳波測定のためには6歳以上の子どもを対象にデータ収集を行う必要があることを再度確認した。そのため、研究参加者の募集の際に留意する。また、子どもの集中力を維持するために、適度な休憩と励ましを行う必要があることも確認した。これまで実験課題の再検討及び実験準備に時間を要したために、研究の進捗が少し遅れている。しかし、今年度予備実験を終えており、次年度に本実験を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験課題の再検討及び実験準備に時間を要したために、研究の進捗が少し遅れている。今年度は予備実験を行ったが本実験を行うことができず、本実験のための謝金等の分を次年度に繰り越すことになった。 次年度は本実験を実施し、それに伴う人件費(実験補助者への謝金、研究参加者への謝金)に使用する予定である。
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